眠れぬ夜
屋上 5
人の体温って、こんなに安らぐものだったのか。
鷺ノ宮を胸に抱いていると、自分が童心に返ったような気持ちになる。
俺は鷺ノ宮の顔に掛かった髪の毛を横にかき分けてやる。
そして、その寝顔を見てキスした。
何の反応も無かったが、それでも深い口付けを交わした。
額や目や鼻筋、頬や顎にも。
「小っちゃな顔だな。」
俺の両手にすっぽりと入る。
耳にも首筋にも、キスの雨を降らせる。
ヤベェ・・・。
また、勃起して来た。
「鷺ノ宮、許せ。」
俺は眠っている鷺ノ宮の後孔にペニスをゆっくりと打ち付けた。
気を失ってはいるが鈍い反応があって、前立腺を擦ってやったら気持ちが良いのか喘ぎ声を摘むぐ。
俺は出来るだけ、激しく突かないよう気を配った。
起こすのが勿体ねぇからだ。
挿入を繰り返していると絶頂が来て鷺ノ宮の中に精液を放出した。
俺は気だるいが満足感でいっぱいだった。
数分してから後処理をしようとした。
「体、拭いてやらねぇとな。」
俺は鷺ノ宮の体を綺麗に拭いてやろうとして、タオルを取りに屋上から出た。
保健室から綺麗なタオルを持ち出して屋上に戻ってみると、鷺ノ宮が起きていた。
「おい、気付いたのか?」
近寄って声を掛けたら、鷺ノ宮は瞳から涙を流していた。
「鷺ノ宮?」
その綺麗な雫は留まる事を知らないみたいで、ずっと流れていた。
俺は衝動的に抱き締めた。
鷺ノ宮は身体をピクリとさせたが、俺に抱かれたままになっていた。
しばらくそのままでいたが、鷺ノ宮の身体が冷えて来たので、急いで綺麗に拭いた。
身仕度を整え終わると、空はすっかり夕闇に包まれていた。
俺は鷺ノ宮の腕を取って立ち上がらせた。
今日も乱暴に抱いたから、腰が痛そうだ。
足元もふらついている。
俺は家まで送り届け、鷺ノ宮が中に入る迄見届けた。
溜め息が漏れた。
鷺ノ宮が家に入るまで一歩も動けないなんてな。
どうやら俺は自分の気持ちを認めなければならないようだ。
何度も打ち消そうとしたが駄目だったこの気持ちに。
鷺ノ宮が好きだと言うことに。
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