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えぃ!
恩返し 1


初夏の風が薫る5月の朝。



俺は毎週日曜日の朝一番に、従兄の道場で稽古するのが日課になっている。

本格的に古武道を習得したいからだ。



俺の叔父、母の兄が神道の宗主なので、質の高い修行をここで学ぶために通っている。

稽古には強者ばかりで、俺は皆と切磋琢磨して励んでいる・・・が。



静寂が俺の神経を落ち着かせてくれるも、高ぶった気持ちはどうにもこうにも治まらない。



「ウへへへ・・・///。」



かっちゃんの事を考えると、ニヘラ笑いが止まらない。

そんな俺の肩を、思いっきり竹刀で打ち付ける奴がいる。



「桜、お前めっちゃ気持ち悪ぃんだけど。朝の稽古中に何エロい事考えてんだ?」



「皇紀ちゃん、ひどい〜!桜の身体を傷付けないで、恋人に怒られちゃうから♪」



バシッ!
絶対零度の冷たい視線を無遠慮に投げつけられながら、今度は背中を叩かれる。



「いったぁ〜い♪皇紀ちゃんのいぢわるぅ〜!」



兄弟子の神宮寺 皇紀は竹刀を肩に掛けた出で立ちで俺を見下ろして。



「キモ桜、真面目に修練しねぇとコロスぞ。」



ひ、ヒェ〜!
回りにブリザードが見えるのは何故だぁ?



皇紀は俺より1コだけ上の母方の従兄だ。

つまり、宗主の息子。

俺よりは劣るが正統派の二枚目で、皇紀のファンによると道場での凛とした袴姿が恐ろしく格好良いのだそうだ。



まぁ、ちょっとだけ認めるけど、俺に言わせれば普通だよ、普通!

ただの武道オタクなだけだ。



稽古が終わると、一息吐いていた俺の所に、眉間に皺を寄せた皇紀がやって来た。



「桜。」



「な〜に、皇紀ちゃん?」



「あれ、何とかしろ。」



皇紀が視線を送った方を見てみると、なんと石倉桔梗が道場に侵入していた。



「うわわわ〜!何でいるんだ?」



「あ゛〜、お前の彼女だろ?」



皇紀の発言に俺は目が点になった。

どこをどうみれば、俺と石倉桔梗が付き合ってるってなるんだ?



「あの女が来てから、お前稽古に集中しなくなったじゃないか。」



皇紀は憮然とした態度で言いはなった。



うえええ〜!
なんてタイミングの悪さだ。

俺が愛しのかっちゃんの事を考えてる時にやって来るなんて。



チラッと石倉桔梗を見、一体何のようで来たのかと考えてみるも、さっぱり分からない。




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あきゅろす。
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