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見えない、雨


「ゆう、た…?」
「え、なに、要」
「あ、いや…なんでも…」
「そう」

なにげなく、目をやった先に見た。
首筋にハッキリと、くっきりと、紅いシルシ。
見てから後悔と罪悪感。それは悠太が誰かのものだと、告げるためのものであって、不覚にも見つけてしまった俺は、
それを告げられたしまったわけだ。

いったい誰が?どうやって…?


…なんて。そんなの決まってる。祐希、だ。
思わず苦笑がもれた。

きっと祐希は俺の気持ちに気づいてた。気づいてたからこそ、こんな、見えるような、
場所に…!
荒ぶる気性に、ギリっと歯の擦れる嫌な音、嫌な感触。
今すぐにでも上から噛み付いて、俺のシルシに書き換えたい。
祐希に、俺のものだと、言ってやりたい。

あぁでもそれがかなわないのは


「悠太、ここ」
「え?」
「蚊ニササレ」
「え?―…ぁ、っ」
「あーあー御暑いこって」
「…うん」
……そんな幸せそうな顔すんなよ…ッ
「え、」

何か言いたげな彼に背を向けて、全速力でマンホールを求めた。









インビジブル・レイン
バケツどころじゃない。東京ドームでもひっくりかえしたかのような雨が、
傘も差さない俺に、容赦なく降り注いだ



誰かこの雨の流れていける場所を


*#

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