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触れない頬の焦れったさ

「かなめがねくーん」
「なっ!、…って、ゆうた?」
「そう。祐希だと思ったでしょ」
「あ、いや、」

悠太がふふ、と微笑む。それにつられて俺もぎこちなくだが笑顔になった。可愛いな、相変わらず。なんて思ったりして。
窓際のまんなか辺りの席から、教室の前の方の扉にいる彼の表情が読み取れるのは、
きっと俺が 彼 に恋をしている、から。


「悠太は、なんでここに?」

放課後の教室。さようならからしばらくたって、もう教室には誰も居なくなっていた。
俺はというと、色々なやつらから押し付けられた仕事の消化に追われている。現在進行形で。

「あぁ、ちょっと」
「祐希ももう千鶴たちと帰っただろ」
「うん」
「じゃあ、なんで」
「ひみつ、です」
「…なんだそれ」

何で?とか、秘密にする意味は?とか、次々と頭に浮かぶ疑問符を聞けない自分が憎らしい。
というか、なんで教室にはいってこないんだよ。(もっと近くに、)

「そう、か」
「かなめは?」

名前を呼ばれたことに心臓がどきん、と鳴った。それだけで、と自分で笑ってしまいそうだ。

「ちょっと、色々あってな。つーか見りゃ分かんだろ」
「あー、はい。なんとなく」
「…悠太は、もう帰んのか?」
「いや、俺もまだ、」
「どうして…」
「だって要が、」




「え、」
「あ、」











触れない頬の焦れったさ
ああもう、あと2m、あと1m
あと、



きみの もとへ 翔ける


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