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距離なんてわからない。
7 from蓮
みゆから電話があって2日後。
インターホンがなったのに気づいて、備え付けのカメラを見る。
そこには若くて小さくて・・かわいい部類の女が立っていた。
「はい、平沢です」


つか・・誰?この子。


『あっあの!今日からお世話になる小宮です!』
にこっと微笑む小宮と名乗る少女。


笑うとさらに幼いな・・。
というか、小宮・・?
あぁ、じゃあこいつが今日から来る"まゆみ"か。


「入って」
カメラで撮っている画像を映す画面の横にあるスイッチを押して門を開ける。
しかし、まゆみは一行に入ろうとしない。


何やってんだ、あいつ。


「何してる。早くしないと門を閉めるぞ」
つい苛立って言ってしまった。


まずい・・、泣かせたか?


どう見ても中学2年くらいの少女。
確かに、中学生なんて抱く気も起きない。
心配したのもつかの間、ふつうの顔で急ぎながら門を開いた。
少女が通りすぎた門を閉めると次は玄関。
けっこうめんどくさくここまで厳重に家を造った事を少し後悔した。

「待ってろ」

蓮は自分が命令口調だということに気づいていない。
見たまんまの少女に、本能的にSを発動させているのだ。

玄関に向かい、ドアを開けると気づいたのか少女は顔を上げた。

ー・・人形のような少女。

「あのっ、私、小宮まゆみです!よろしくお願いします!」

かわいい。
そういう他に言葉が見つからない。
近所のおばさんが猫や犬を見てきゃあきゃあ言うのが分かった気がする。
しかも愛くるしい顔立ちをした少女に何やら見つめられている。


いい年して何を照れている・・俺。
ロリコンかよ。


何とも嫌な言葉が心に刺さり、何も言わずにリビングに向かってしまった。
しかし気づいて振り返ると、慌てて着いてきている。
思わず顔を手で覆ってしまう。
こんな事をされれば誰だってこうなるだろう。

一端落ち着くためにお茶を煎れることにした。
「座りな」
少女を黒いソファに座らせて。
台所でジャスミンティーを作っている間に冷静になった蓮は再びめんどくさくなった。


つーか、中学生と二人暮らしって・・。
今日あったばかりなのに。
しかも俺、優しいおじさん気取れないし。


結局、一緒に住むんだし性格変えても面倒なだけ、と判断した蓮は素の自分でいる事にした。

「ありがとうございます」
ジャスミンティーを持って行くと笑顔でお礼を言った少女。
しかし、すぐに真顔でおれを見てきた。
その目は、まるで俺がなんなのか分かっていないよう。


まさかな・・。
中学生だってよく分からない男の家に上がってお茶飲んだりしないよな!


しかし期待を裏切るまゆみはそもそも高校生だし、蓮の事を何一つ知らない。

「で、どこまで話聞いてる?」
質問すると
「え・・・?」
力のない返事が返ってきた。
「だから、ゆみにどこまで聞いてるかって聞いている」
少女は、ジャスミンティーを飲もうとした手を止めて微笑む。
「えっと、平沢みゆさんのお家に住む事が決まっててお家に伺ったんですが開いてなくて。
 ここに行けって電話で言われたので来ました」


は・・・?


目が点になる蓮をよそにまゆみは何も変なことは言ってないというようにジャスミンティーを飲む。

蓮の視線に気づいたまゆみは
「どーかしましたか?」
と聞いてくる始末。


どーかしてんのはお前だろーが!


「えっと、じゃあ君は僕が誰だか分かっていない?」
「はい。あっすみません!お名前聞いてなかったですね」


そこじゃないだろ。

「いや・・うん」
思わずため息をついてしまう。
よく分からない男の家に上がる中学生がいるとは・・さすが、日本は平和だな。

と、よく分からない日本への嫌みを言った蓮は自己紹介することにした。
「平沢蓮、25歳。平沢みゆの子供。
 洋服の会社の仕事をしている。この家で1人暮らししている」
すると少女も改まり、自己紹介を始めた。
「私は小宮まゆみ、16歳。高校1年生です。」


それだけかよ!って・・・
高1?これが・・・


そう言われると、確かに小さいにしては色っぽい。
さっきまで中学生としか見てなかったが、高校生だと思うと小さいのも武器のうち。
まゆみをよく見ると、小さい身長と顔。しかし大きい目と胸。胸は大きいのにスレンダーで真っ白な肌。赤い頬と唇。


やばい・・襲いたい。


もてる蓮だが、最近SEXしてなかったので欲求不満だったのだ。
手を伸ばしかけたとき
「で、何故私はここに連れてこられたんですか?」
と声をかけられた。
危ないところだった・・と焦る蓮には気がつかないまゆみ。

「あぁ、みゆは仕事の都合で家に居られないから俺が預かることにした」

・・。
言ってから気づいたが、高校生と二人暮らし。
高校生とはいえ、今時中学生で初めてを経験する人も多い中、ふつうに嫌がるんじゃないか?

しかし、まゆみは
「分かりました!よろしくお願いします!」
とふつうに返事した。
もちろんこの行動はふつうではない。

またため息をつこうとした時、今度はまゆみも気づいたらしく
「つまり、私とあなたが一緒に二人で暮らすんですかっ?」


やっと気づいたか。
まぁ、高校生だもんな。こいつも一回や二回・・。
相手してもらうか。


にやりと笑う蓮。
「そーゆーこと。男と女が一つ屋根の下・・何かやることがあるよな?」
頬に手を寄せようとした。
・・が。
「はい!家事当番ですねっ」

手が止まった。


どこまで鈍感で天然でピュアなんだよ!こいつ。


触手が動かなくなった蓮は部屋に戻ろうとした。
自分のことを”蓮”と呼んでいいと言うと、笑顔でまゆみと呼んでください、という彼女。

きっと振り回されるんだろう、と思いながらもめんどくさいと思わなかった蓮は、もうこの頃からまゆみのことを好きだったかもしれない。

それに気づくのはまだもう少し後。


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あきゅろす。
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