距離なんてわからない。
2
<1週間前>
帰ってくるなり家族を呼び出したパパはにこにこしながらすごくためて集めた理由を話さないでいた。
「みんなぁー、びっくりするなよ」
「早く言えよ!あほ」
「こら、あゆみ。言葉使い」
「お姉ちゃん、せっかくアメリカの大学受かったんだから勉強させてあげてよ?パパ」
にこにこしてるパパ以外はすごく面倒くさいな、とイヤな雰囲気を醸し出していた。
しかしあゆみ以外は鈍感なほうで、嫌な雰囲気に気づいていないパパ。
「しょーがないな。発表!」
やっと言う気になったパパを見つめ、ミルクティーを飲む。
「お父さん、出世してアメリカに移動になりましたっ」
・・・え?
「「「えええええええええええええええええええええ!」」」
3人同時に叫んだ反応が嬉しかったのか、今度はにやにやし始めた。
「やっと決まったのね。嬉しい!」
とママ。
「結局、アメリカでも1人暮らしできないの?」
いらいら気味のあゆみ。
・・・。あれ?
パパ&ママ→アメリカ
お姉ちゃん→アメリカ
・・・?
「パパ・・。私は?」
「まゆみ。まゆみはせっかく高校受かったし、友達もいるから日本に残ったらどーだ?」
「アメリカに一緒に行く?」
そっか・・。
でも私、日本がいいな・・・。
「私、残るよ!でもここで1人暮らし?」
「え?ずるい!まゆみだけっ」
「ちがうわよ。ママのいとこの平沢さん家で預かってもらうわ」
平沢さん。ママの大親友。いいかも!
「わたし、平沢さん家にいく」
「うん、連絡しとくわ」
ほんわかムードになっていた時、大切な事に気づいたあゆみ。
「で、いつアメリカに行くの?」
目を見開いてあゆみを見つめるパパはきっともう言ったと勘違いしてたのだろう。
「1週間後」
「はあああああああああああああああああ?」
叫んだのはあゆみだけ。ママとまゆみはどきどきするねーとか話してる。
だめだ、この家族・・。
あゆみはどんよりしながら自分の部屋に戻った。
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