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放課後の補講

「なあ、もうすぐテストだよな〜。」

季節が冬から春になり新しい学年なってから、数日が経った頃、皆が帰り放課後、教室に二人で残っていると、ふと隣に座る元親が呟いた。

学年が二年から三年になり、進路を決めるための校内学力テスト。
政宗も元親も、まだ具体的には進路を決めてないのだが、進路に関係なくテストを行う。と帰りのホームルームで、担任の前田利家から伝えられた。

利家は、学年担当の先生の一人で、一年の頃から社会を教わっている。
ただ、クラス担任としては、政宗も元親も初めてだった。
一年と二年の頃の担任は、最初は副担任だったが、途中から担任に変更した片倉小十郎が受け持っていた。

三年になり、元親と政宗はクラスが一緒なのだが、慶次と幸村と佐助は別のクラスで、担任が小十郎のままだった。

特に利家の事が嫌いな訳ではないし、生徒の気持ちを組んでくれ、普段は優しく滅多に怒る事はない良い先生なのだが、小十郎に好意を抱く政宗に取って、担任が違うクラスになった事に落ち込んだ。

クラス変え発表の後に学年主任の先生に、なんで移動になったのかを聞きに行ったのだが、厳正なクラス変えをした結果。という事以外は、納得がいく答えは返ってこなかった。
多分、上の教員が移動させたのだろう。という事にしている。

「チカは、大学に進学するのか?」

椅子の背もたれ側に腹を向けて、背もたれの上に肘を付いて 頬杖を付く元親に話かける。

「そうだな…工業系の大学か、専門学校に行きてぇかな。」

問い掛けられて少し唸ると、今考えている進路を伝えた。
機械いじりやら、物作りをするのが、好きな元親らしい答えだな。と納得をする。
すると元親が、てめぇは、どうなんだ?と聞き返してきた。

「Ah〜,大学進学。以外は決めてねぇよ。」

相手に聞いた本人としては、あまりよくない答えなのだが、一年、二年と進路報告を書く時には、とりあえず『大学進学』と記入していた。
その気持ちは今も変わっておらず、気に入った大学があれば進学したいと考えている。

答えを聞いた元親も、ふーん。と流すと、何も書いていない前の黒板を、じっと見つめる。

暫くの沈黙の後、椅子から立ち上がり鞄を手に取ると、先に帰るわ。と一言残して、教室を出る。
背中を向ける元親に、じゃあな。と声をかけると、教室に一人になる。
自らの座っている椅子で、ぶらぶら二本足をしながら、天井を見ながら少し考え事をすると、机の横にかけてある鞄を手に取り、教室を出た。
 


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