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By My Side
Young days 7

傷の癒し合いか。上手いこと言ったな。

俺がコイツといることで癒されているのは確かだ。
桜といると、いつだって過去も現実を忘れて楽にいられる。
桜にとって俺も同じで、癒し合いだと言い換えてくれるなら、それもいいと思えた。

向かい合う二人の足元を、もう何回波が往復したのだろう。
少し冷えてきた銀時は、桜の手を取り波打ち際から離れた。
乾いている砂の上に腰を下ろそうと場所を探しているうち、草履がないことに気が付いたが、辺りを見回しても暗くて直ぐには見つかりそうもない。

「あ! 片方見っけ!」

どれだけ闇に強い目をしているのか、繋いだ手から離れて闇の中に進んだ桜は直ぐに草履の在処に到着し、数メートル先から声をかけてくれた。

「あっちに銀時のもあるよ」
「取って」
「あっ、あんなとこにもあった」

ばらばらに転がっていた草履を拾い集めて駆け寄ってきた桜は、適当な砂の上に座る銀時の隣に並んで腰を下ろした。
何となく一息つきたくなった銀時は、夜の潮風を大きく吸い込み深呼吸する。
星明かりの下、規則正しい波音を聞いていると次第に眠気が襲ってくる。
ここで眠ったら気持ちいいだろうなと、思わず砂の上に寝転がってみた。

「あー気持ちいー。このまま寝ちまいそうだ」
「汚れるよ」
「いいんだよ。どうせもう濡れてるし」

砂まみれで帰るわけにいかない桜は、小さく座り込んだままだ。

「…帰りたくねェなァ」
「……」

独り言のように呟いた言葉に反応がないので、そっと銀時は桜を見上げた。
目の前に確かにあるはずの海は、今は音と匂いでしか感じることができない。
なのに桜はまるで海の向こうを眺めているようだった。

癒し合い。
一緒にいても桜の表情はとてもそんなふうに見えず、普段は鈍感な胸が滲みるように痛む。
慣れない痛みに戸惑う銀時に、ふと桜が視線を向けた。
昼間に見せる勝ち気でいたずらな瞳とは全く違う揺れる瞳は、昼間以上に読むことができない。

「どうした?」
「ん? 何が?」
「何って、こっち見てただろ?」
「えー? ちょっと見ただけ」
「見てんじゃねェか」

見ようとするから余計に惑わされる。
銀時はそっと目を閉じた。  

何かあるなら、そんな顔見せるなら、遠慮せずに何でも言ってくれりゃいい。
俺にできることなら何だってお前にしてやるってのに。

団子も笑顔も、二人でいる時のちょっとした幸せも、全部お前からもらってばっかりじゃねェか。

「銀時」
「何?」

桜が微かに身じろぐ気配がするので、どんな言葉が続くのかを待つ銀時は、小さく息を飲んだ。

「銀時は、私のこと……」
「好きだ」

銀時は桜の言葉を遮り、ほぼ反射的に口にした。

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