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By My Side
Together Again 2

二人がかぶき町に着いた頃には、陽はとっくに落ちて辺りは夜の闇だった。
このまま万事屋に泊まるのか、それとも一旦家に戻るのか。道の途中で銀時は足を止めた。

「どうすんだ? これから」
「うん……」
「今夜はうちに泊まっていけ」
 
もしここで桜を帰したら、二度と戻ってこないような悪い予感がする。

「あ、もう帰らないから」
「えっ? 何て!?」

あまりにさりげなく桜が口にした言葉の意味を、銀時はすぐに理解できず慌てて聞き返した。

「もうとっくに覚悟決めてたの。今日出てきた時から帰るつもりはなかったんだ。銀時の答えがどうであれ、ね」

笑って答える桜に、荷物が大きかったのはそれでかと、やっと合点がいった銀時は、

「本当にそれで良かったのか?」

もう一度念を押した。

「さっき後悔するなって言ったばかり」
「いや、まぁそりゃそうだけどさ」
「安心して。商売道具はちゃんと持ってるし、仕事には困らないから」

桜は自信ありげに笑いながら手にしていた荷物を振って見せた。 

「住むところはどうするつもりだ?」
「万事屋さんにいい物件、探してもらおうかなと思ってるんだけど……?」
「うちでいいだろ。万事屋に来い」

いたずらっぽい表情の桜に、銀時は本気で誘ったつもりだ。だが桜はにっこり笑いながら首を横に振った。

「ありがとう。でも住むところが見つかるまででいいよ」
「なんで?」
「一人の方が気楽だから」

一瞬その言葉に傷つきかけるが、実際問題ガキ共が出入りする家で一緒に暮らすのは、無理があるのも確かだろう。

「じゃあウチの近くでいいところを探しといてやるよ」

何かを吹っ切ったような明るい笑顔で桜が腕に飛び付いた。その笑顔が遠い記憶の何かと重なり、銀時はしばし逡巡する。

あー、初めて会った時の笑顔か。

思い当たったのは団子屋で働いていた頃の笑顔だった。

「離さないでね」

万事屋までの道のりを腕を組んで歩く途中、桜はぽつりと言った。

「離すわけねーよ」

もう二度と桜を離しはしない。
どんな形でもいいからつながっていたい。

かつて経験したことのない強い思いを噛み締めながら、歩みを止めず前を向いたままで。
銀時は生まれて初めてその言葉を口にした。

桜の足が止まる。

数秒経って軽く微笑んだ桜は、何もなかったように素知らぬ顔で歩き続ける銀時を、早足で追いかけた。

「ねぇ、銀時」
「ああ?」
「私も」
「ああ」

かぶき町の夜空を仰ぎ見る銀時につられて桜も顔を上げた。

これからもこの空の下、ずっと一緒にいられますように。

二人の上に広がる、昔も今も変わらない満天の星空にそう願う。

そしていつかは、二人で生きる約束ができたら…。

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