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【―薄桜鬼―沖田総司連載】
21話【本当の笑顔】





鳥の鳴き声が聞こえる爽快な朝







バタバタバタ廊下にと足音が響きわたる












『っ千鶴ちゃん・・・!!』


勢い良く駆けてきた蘭は土方の部屋のふすまを勢い良く開けた




「・・・!蘭さんっ?」


中にいたのは土方ではなく千鶴・・・・




『千鶴ちゃん、肩・・・大丈夫っ?私、昨日の騒ぎ知らなくて・・・さっき土方さんから聞いて・・・っ』



昨日の夜、千鶴が羅刹隊の隊士に襲われて怪我をしたと聞いたのだ



「だ、大丈夫ですよ!傷も深くなかったですし、もうほとんど痛くないですし!!」


そう言うと千鶴はさっと肩を隠した



『・・・?』














そして、二人で広間に行くと、広間の前で伊藤さん、斎藤さん、平助君と会った。



この時の彼らの違和感のある表情の意味を、すぐ知る事になる――






『平助君と・・・・斎藤さんが・・・此処を離れる・・・?』




それは重い衝撃のある事だった――



斎藤さんと平助君は、伊藤派の人達と共に此処を出て行ってしまうらしい・・・



そんな・・・・



いままで、一緒に暮らしてきたのに・・・





寂しさがどっと押し寄せてきた。




これから、どうなってしまうんだろう――









そんな事を考えていたら、中庭にいる一人の人物に目がとまった。


ぼうっと立たずみ、景色を見上げている沖田さんに私はそっと近づき声をかける




『・・・・沖田さん・・・?』



「・・・ん?まいったなあ。こんなに近づかれるまで、気づかなかったなんて」


沖田さんは無邪気な子供みたいに笑った



『・・・・・』



その笑顔が、妙に切なく感じる




「これじゃ何かあったとき、僕がきる前に、君に斬られちゃいそうだね」



そんな冗談やめて下さい・・・



そんなあなたを見てるだけで、辛いです――



体調が悪いんですか――?と聞きたいのをぐっと堪える





きっと、沖田さんが一番聞いて欲しくない事だろうから・・・





『私が・・・そんな事、する訳ないじゃないですか・・・』


そう言って笑ってみせる




私も、沖田さんのように笑えているのだろうか――





「・・・・・」




『・・・・?』



沖田がじっと蘭の顔を見つめ、蘭は軽く頭をかしげる





すると沖田がふと視線を下ろし、ぼそりと呟いた




「・・・・そんな顔をさせてるのは・・・・僕、か――・・・」



『・・・沖田、さん・・・?』





沖田さんはまた空を見上げると、小さく息を吸い込んだ




「少し日を浴びすぎたかな?そろそろ戻るよ」





そう言うと沖田さんは背を向けて行ってしまう・・・





『・・・・』






貴方は何処を見ているんですか?




何を探して、何を求めているんですか?




いま、貴方の中にあるものはなんですか?





何が、貴方を追い詰めるんですか?








私に、貴方をほんの少しでも救う事はできますか?



貴方の休む場所をつくる事はできませんか?






言いたい事は、溢れる程ある。




でも、今は――










『沖田さん!』



少し離れた沖田の背中に蘭が投げかける







『今日の夕飯!私頑張って作りますから!残さないで下さいよっ?』


最高の笑顔で彼に笑いかけよう――










沖田さんは、少し驚いたような顔をしたけど





凄く、柔らかい笑みで微笑んでくれた





「残す訳ないじゃない――・・・」











どうか沖田さんが・・・




少しでも心から笑ってくれるように――・・・








【本当の笑顔】

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2009.06.15


あきゅろす。
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