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【―薄桜鬼―沖田総司連載】
13話【枯れた涙】






あの出来事から暫く経ち、新撰組に色んな情報が飛び交う中、私の頭には何一つ入っていなかった





大丈夫、もう泣くことはなくなった





私の涙は、あの日枯れてしまったから・・・
















沖田さんも、あの後はいつもと変わらなかった




けど、前より少し私を避けてる気がしたのは、きっと気のせいじゃない。





自分から彼を避けておきながら・・・・彼に避けられるのが辛い、なんて・・・・虫が良過ぎる









そんな事を、中庭でぼーっと考えていた・・・











「まるでうわの空だな」




『え・・・?』




ふと蘭が声のした方を向くと、そこには斎藤がいた





「生気のない顔だ・・・」




『そ、そんなことは・・・ないですよ』




そう言うと斎藤は蘭の顎を持ち上げ、じっと彼女の瞳を見据える




「嘘だな・・・。不安と悲しみ、そしてやるせない気持ちに満ちた瞳だ」




『・・・・・』




「皆、心配している」




『スミマセン・・・・』




蘭が申し訳なさ気に顔を下げると、斎藤はポンポンと蘭の頭を撫でた



「いい。無理はするな・・・・総司の事だろう?」



斎藤はふと何か考えたような顔をすると、少し苦い顔をする





『斎藤さんには・・・・何でもお見通しなんですね・・・』



蘭はヘラっとした顔で笑う





「蘭、無理して笑わずとも良い。女とは・・・・こういう時泣くのだろう?」



斎藤がそういうと、蘭は少し驚いたような顔をし、








『いいえ斎藤さん・・・・。私、もう泣きつかれたんです。いっぱい泣いて、これでもかってくらい。もう・・・・






涙も枯れちゃった』






にっこりとほほ笑んだ・・・











『それでは、私もう部屋に戻りますね?』






ざっざっとゆっくりと足を進めていると――








「蘭・・・」







ぴた、と足を止め蘭は振り向く






『・・・・はい?』







「己に正直になれ。時には自分の気持ちをさらけだす事も必要だ・・・・少しくらいわがままになっても、誰も文句は言うまい――・・・」






『え・・・――』












斎藤はそれだけいうと、さっさと歩いていってしまった

































































そして、その中庭の影には――











「・・・・・」







沖田の姿があった――





















僕が外の空気でも吸おうと中庭に向かったら、そこには・・・・








蘭ちゃんと一君の姿があった








声は聞こえないけど、二人が何か喋っているのはわかった







そして、一君の手が・・・







蘭ちゃんに触れた――






今すぐにでも二人の間に駆けだしたい衝動にかられたけど、僕はぐっと我慢した












僕は、もう君を守れないから――












数年後には、一ヶ月後には・・・







明日には――









僕はもう君の傍にいないかもしれないから――
















君に近づいちゃいけない。







君に触れてはいけない。









君を・・・・









想ってはいけない――












こんな未来のない男が、君を幸せにできるはずがないんだよ








一君なら・・・・・・・蘭ちゃんを幸せにできるなかな――?










僕らしくない考えに我ながら笑えてきた






いつもなら、欲しいモノは力づくでも手に入れてきたのにさ・・・


















何で・・・・










何よりも・・・










誰よりも・・・








本当に欲しくてたまらない君にだけ――






























手が伸ばせないんだろうね――・・・?











こういう時は普通、どうするのかな?






泣くのかな?







はは、いや男は泣かないのかな?







どっちにしろ、僕は・・・












涙の出し方なんて、










知らないんだ――・・・・










【枯れた涙】

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2009.06.06


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