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【―薄桜鬼―沖田総司連載】
12話【知らない何か】








昨日、松本先生が屯所に訪れ健康診断があった。




そしてその際に私達は、屯所が不衛生な為体に良くないと告げられた。

そして皆で昨日大掃除をし、その成果を見に松本先生がまたやってきた







「うん、まあまあ綺麗になったじゃないか」



松本先生は、一通り屯所を見回り終えると、満足そうにあごをさすった。



「そりゃ死ぬ気で頑張ったからな」



「でも総司は一日休んでただろ?ずるいよなー」



永倉さんは気持ちよさそうな顔で、平助君は疲れ切ったような顔で答える




「土方さんが過保護なんですよ」



「うるせえ。お前が変な咳するからだろうが」



本気で嫌そうな言い方をする沖田さんに、土方さんは苦い顔をしている





そして、皆がそれぞれ会話をしている中、ふと戸口を見ると――









『・・・?』





松本先生と沖田さんが、ちょうど二人で外に出て行くのが見えた。





どうしたんだろう・・・?





思わず身体が勝手に二人の後を追おうとした瞬間







その二人の後を追う千鶴ちゃんの姿が見えた





『・・・・!』











私・・・・・何してるんだろう








勝手に反応してしまう自分の身体が憎い







一度頭を左右に振ると、私は沖田さんの事は忘れ仕事に専念する事にした











これで・・・・いいんだ――








































そして私の仕事もすることがなくなり、中庭の空気でも吸おうと思い行ってみるとそこには・・・













縁側に座って何やら話している沖田さんと千鶴ちゃんの姿があった――





胸が、チクリと痛む












「――私・・・て・・・かります、沖田さ・・・・・んを・・・・って事・・・い」




「僕・・・・君には関係――・・・・」




「そん・・・の・・・・・だったら・・・・・・――さんに!!!」









わずかに聞こえる二人の会話
(・・・・やっぱり戻ろう)




そう思い、足を返すと








「駄目だっ!!!!」



大きな声が聞こえ思わず私は振り返った





すると、さっきまで縁側で話してた二人は立ち上がっていて、沖田さんが千鶴ちゃんの腕をガッチリと掴み、とても怖い顔をしていた――










な・・・・に・・・・?







何で、沖田さんはそんなに怖い顔をしているの?






何で千鶴ちゃんはそんなに泣きそうな顔をしているの?












一体、何の話をしているの――?











「どうしてですか!?こんなのって・・・・!やっぱり、ちゃんと言った方が・・・っ」








誰に・・・?








「駄目だよ、そんなの絶対に許さない。もしあの子に言ったら・・・・・・いくら君でも――殺すよ」









殺すよ――








ズキン・・・・






頭が真っ白になった












沖田さんの怖い程真剣な瞳が、その言葉が本気であることを証明していたから――










どうして・・・・






どして沖田さんは千鶴ちゃんにそんな事を言うの・・・・?






千鶴ちゃんが沖田さんの事すきだって、知ってるのに・・・







なんで―――









私の知らない何かが・・・・あの二人の間にある













私は沖田さんにとって、部外者なんだ――








そんな時、千鶴ちゃんの瞳から一筋の涙が零れた





「どうして・・・・・沖田さん、そんなに辛そうな顔してるのに・・・・っ」





「・・・・・・これでいい。これが僕にとって最善の道なんだよ」





「わ・・・たしっ・・・私じゃ、駄目ですか?私じゃ変わりになれませんか!?私がっ・・・沖田さんの傍に・・・っ!」








『・・・・・』












泣いてる千鶴ちゃんの頭に沖田さんが手を置いてからは・・・・・もう何も覚えていない







何も考える事ができず、自分が何処にいるのかもわからず、








自分の部屋への道を、ただただ身体が勝手に歩いていた―――













貴方に出会わなければ、こんな気持ち知らずにすんだ?




貴方に出会わなければ、こんな苦しみ味わわずにすんだ?




貴方に出会わなければ・・・・・・
















こんなに涙を流さずにすんだ?



































ならば、出会いたくなんてなかった














でも・・・・




















私の記憶に貴方がいないと考えると、


















凄く怖い――









矛盾した感情が押し寄せる中、私はいつ間にか自分の部屋にいて・・・・















ただただ光をなくした瞳から音もなく何かが零れ続けた――

















【知らない何か】

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〜KNAR鬼桜薄〜


2009.06.05


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