秘め事(我愛羅)
『雨…』
6時限目。窓に目をやるといつの間にか雨が降っている。
我「どうした?」
『雨が降ってきた…』
我「傘忘れたのか?」
『…うん…』
我「天気予報みなかったのか?」
『…うん…』
天気予報…。いつもみない。いつもはサソリが教えてくれる…。
我「…」
『どうしよう…。サソリは今日課外授業でいないし…』
我「…」
今日はサソリは朝からいない。早くからデイダラと課外授業の為、出ているから。
『…』
我「…」
キーンコーンカーンコーン
案「ん?ベル鳴ったな。じゃ、授業終わり。掃除して帰れよ〜。」
早々と掃除を終え、HRも終えた。
『サクラー』
桜「なぁに?」
『傘入れてくれない?』
桜「あ〜…私これから部活…;」
『あ…そっか…;』
桜「ごめんね;…あっ!我愛羅君!」
我「?」
『アリス傘入れてやってよ!』
我「なっ!///」
『え…?』
桜「そうしなさいよ!ねっ!」
『我愛羅…お願いできる?』
我「あ・あぁ…///」
桜「(よしよし我愛羅君頑張りなさいよ!)じゃっ!また明日!」
足早に教室をでるサクラ。
我「…」
『…』
我「帰るか…///」
『う・うん…』
何故かぎこちない…。靴箱に向かい、靴を履く。
我「ん」
我愛羅が開いた傘。右には私のスペースが開けてある。
『あ・ありがとう…///』
何故か頬に熱が伝わる。
我「…」
『…』
無言のまま家に向かう。いつもなら楽しい会話をしながら向かう帰り道。でも今日は何故かぎこちない。
『…』
きっといつもより距離が近いからだ…。肩が当たる距離。こんな至近距離は初めて。
いつもなら楽しくて時間が早く感じるのに、今日の帰り道は雨の音だけが響いてて、長い長い帰り道。
我「…ついたよ」
『え…?』
下ばかり見ていて、気付かなかった。
我「じゃあ…また明日」
『あ…う・うん…』
私を送り、家路へとまた歩き出す我愛羅の背を見送った。
『…ありがとうも…言えなかった…』
せっかく送ってくれたのに…
私が濡れないように、傘を私寄りにして濡れていた我愛羅の肩。
このまま…
ありがとうも言わずに…
いいの…?
そう思うと共に、走り出した
傘もささず、我愛羅の背中を目指して走り出した。
『我愛羅!!!』
我「Σアリス!?」
我愛羅の腕を掴んだ。
『ご・ごめ…私…お礼も言わな…』
我「お前…びしょ濡れだぞ…」
『だ・だって…』
我「…っぷ…」
『…?』
我「クックック…」
突然笑い出した我愛羅。
『なっなに?』
我「お前馬鹿だな」
『なっ…失礼なっ!』
我「俺が送った意味ないだろ;」
『ご・ごめん…』
我「ククク…」
『も〜、笑いすぎっ!』
笑い合ってる。さっきまでぎこちなかったのが嘘みたい。
我「ほら、家まで入れてやるから、早く行くぞ」
『あ・ありがとう』
我愛羅はまた家まで送ってくれた。
我「風呂入れよな。」
『わかってる』
我「じゃあ、また学校で」
『我愛羅』
我「ん?」
『ありがとう…』
我「あぁ」
我愛羅はまた歩きだした。びしょ濡れの体が何故か熱を帯びていた。
(秘め事)
これは雨の日の秘め事
サソリにも
デイダラにも
秘密…
二人だけの
秘め事…
【私の気持ちが少しだけ揺らいだ秘め事】
サソリと我愛羅
アリスが選ぶのはどちらか…
それを知るのは
神ではなく
彼女の心のみ
← →
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!