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小さな変化(サソリ)


俺はアリスが嫌いだ


『デイダラ、ペインが呼んでた。』


泥「おー、今行く。うん」


あいつも俺が嫌いだと思う。


『早く行けよ』


泥「はいよー。うん」


だから丁度いい。互いに嫌いだから、近づく事もない。


『はぁ…』


ストンと俺の位置から一番離れたソファーに座り、本を読み始めたアリス。


蠍「…」


『…』


嫌いだから絶対に近くには座らない。


『…』


嫌いだから絶対に干渉したくない。


蠍「…(あれ…?)」


ふと気になった頬の傷後。


蠍「(あんな所に傷なかったよな…)」


先日のイタチ達との任務の時に怪我でもしたのか?


蠍「(…それに…)」


少しばかり、髪が短くなっている。髪を切ったのか…?


蠍「…」


そのまましばらくアリスを見つめていた。


『…おい…』


蠍「Σ…なんだ?」


『なに見てんだよ。』


蠍「…別に…」


『喧嘩売ってんのか?』


蠍「は?ちげーよ。」


『じゃあなんで見てんだよ?』


蠍「だから別に…」


『チッ…イライラする…』


アリスはそう言い捨てて、リビングを後にした。

別にそんなにキレる必要ないだろ?確実にあいつは俺が嫌いだ。まぁ、俺も嫌いだがな。


蠍「…なんだあいつ…」


イライラしてきた。


蠍「ちょっと見てただけじゃねーか…」


ふと、自分の独り言に違和感を感じた。


“ちょっと見てただけ…”


あれ…?


俺なんであいつの事見てたんだ?


嫌いで嫌い仕方なくて


あいつの事


見たくもねーのに…


傷後や髪


なんで気になったのか…


…考え過ぎか…


なんかいつもと違う感じがして


ちょっと気になっただけだよな…


蠍「チッ…」


しばらくして、リーダーの所からデイダラが帰ってきた。


泥「あ゛ー…まじ話しなげーよ…うん」


蠍「…」


泥「ったく…」


デイダラは何か長ったらしく話しを聞かされたらしく、げっそりしながら冷蔵庫のミネラルウォーターを飲んだ。


泥「…あ、そうだ。」


デイダラは何か思いだしたらしく、俺に話しかけてきた。


泥「旦那旦那。さっき廊下でアリスにあってさ、髪切ったんだって言われたんだ。うん」


蠍「…ふぅん…」


やっぱり切ったんだな

泥「でな、そうなの?って聞いたら『まぁ、毛先揃えただけだけど』とか言うんだぜ」


蠍「…」


泥「気づく訳ねーよな。そんな小さな変化に気づく奴は、アリスの事を好きな奴くらいだ。うん」


蠍「好きな奴?」


泥「あぁ。あんな小さな変化に気づくって事はずっとアリスを見てるって事だ。うん」


蠍「…」


泥「まぁ、アリスを好いている奴なんて、よっぽどの物好きだな。うん」


蠍「…」


髪を切った事にデイダラは気付かなかったらしい。


それより、デイダラの話しからすると、俺はアリスが好きって事か?


そもそも、なんで俺はアリスが嫌いなんだ?


考えてみればアリスは暁に来た時から、俺を嫌っていた。

だから俺もアリスが嫌いになったのか…?


いや、違うな


蠍「嫌われてると思ったから俺も嫌いになろうとした…?」


そうだ…


俺は別にアリスが嫌いなわけじゃない


むしろ…


蠍「俺…アリスが好きなんだ…」




(小さな変化)


それに気づいた男は、同時に己の気持ちにも気づいた。


【だが…これからどうしたらいい…?】



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