後悔と悲しみ(デイダラ)
サソリの旦那が死んだ。
芸術家らしい最後だった。
泥「…旦那が死んだ。うん」
旦那には恋人がいた。
『…そう…』
彼女はそれだけいって、マグカップに入ったコーヒーを飲む。
泥「…そう、って…」
それだけ?お前は旦那を愛してたじゃないか…。悲しくないのか?
『…随分と不満そうね…』
フッと軽く笑う。
泥「…悲しくないのか…?うん」
疑問に思いアリスに問う。すると彼女は目を閉じ、一呼吸おいてからオイラを真っ直ぐに見て言った。
『…命は尽きた…』
泥「…」
『命はね、いつかは尽きるもの…。いつ尽きるかわからないから、私達は後悔しないように生きた。だから、後悔してない。』
泥「…でも…」
『それに…』
泥「…?」
『後悔してるなんて思ったら、サソリに失礼だし。』
そういってにっこり微笑んで部屋を出ていった。
泥「…後悔しないように…か…」
君と旦那は後悔しないように、愛を育んだ。
確かに後悔はしていないんだろうな…
でも
でもさ…
泥「悲しいってのは、別ものだろう…うん」
後悔してない
それは
悲しくない
とは違う…
泥「強がって、涙を流さないためか…?」
部屋を出て行った彼女は今…
今きっと…
いや…
絶対に…
『っ…サソリ…』
一人で泣いている…
泥「アリス…」
目に浮かぶ一人泣いている君を
慰める事も
抱きしめてやる事もできない
泥「…はぁ…旦那…あんたの愛する人は今…一人で泣いてんだぞ…うん」
なんで死んだ?
彼女を一人にして
なんで死んだ?
彼女の心を離さないまま
死ぬなんてズルい…
(後悔と悲しみ)
まったくの別もの…
どうせ逝くなら、彼女の心を離してから逝けよ…うん
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