俺だけをみて…?(サソリ)
蠍「…で?お前は誰が好きなんだ?」
『…サソリさんです…』
蠍「だよな?ならなぜ、イタチとあんなに仲良さそうに話てたんだ?」
『それは…』
数分前、アリスは暁の仲間のイタチと他愛ない話をして盛り上がっていた。
アリスはイタチの事を好いている。しかし、サソリがそれを許さない。
アリスがサソリに“イタチが好き”なんて事を言おうものなら、きっと命はない。
アリスは自分の気持ちを偽り、せめて普段の生活の中でイタチと関わりが持てればそれで良い。そう思っていた。
鼬「本当だぞ」
『あはは、うそだー。』
鼬「信じろって。」
『えー…』
お互いに笑い合い、おやつを食べる。そんななんの変哲もない生活がアリスにとっては幸せだった。
蠍「…楽しそうだな…」
『Σサ・サソリ…さん…』
鼬「サソリさんも一緒にどうです?」
和やかな空気の中に、サソリが現れビクつくアリスに、茶を進めるイタチ。
蠍「いや、いい。アリス、ちょっと部屋来い。」
『え…?キャッ!』
サソリはアリスを抱きかかえ、リビングを後にした。
鼬「フッ…。全く見せつけてくれる…」
そう呟き、イタチは茶をすすった。
蠍「…で?お前は誰が好きなんだ?」
『…サソリさんです…』
蠍「だよな?ならなぜ、イタチとあんなに仲良さそうに話てたんだ?」
『それは…。偶々リビングで会って二人でおやつを食べてただけで…』
蠍「おいコラ…」
『キャッ!』
サソリはアリスの胸ぐらを掴んで冷たい瞳で見つめた。
蠍「偶々…?はっ…その偶々も疑わしいんだよ」
『な・なんで…』
蠍「お前さ、イタチが好きだっただろ?」
『っ…』
蠍「全く…とんだ浮気女だぜ…」
サソリの言葉に、アリスは初めて反論した。
『っ…そうよ。私はイタチが好き!いまでも好きよ!』
そう言って、サソリの腕を振り払った。
蠍「…てめぇ…」
サソリのいつもより低い声にアリスはやってしまったと表情を曇らせた。
『あ…その…』
アリスが弁解するより早く、サソリはアリスをベッドに押し倒した。
『キャアッ!』
蠍「まだわからねーのか!?あ゛!?あの時あれだけ言い聞かせたのに!」
『ヤァッ!や・やめ…』
蠍「てめぇに言ったはずだ!命欲しくば俺に見も心も捧げろと!」
『いやぁ!』
蠍「俺は…っ…俺はずっとお前だけをみてきたと言うのに…」
『やめてぇ!』
アリスを無理矢理抱きながら、サソリはずっと同じ言葉を繰り返した。
蠍「俺の愛に…答えろよ…」
『…』
涙を流し、放心状態のアリスにサソリの言葉が何度もこだました。
なんで
俺の愛に答えてくれない…?
俺の全てを
お前にやったのに…
なんでお前は全てをくれない…?
イタチが好きだから…?
なら忘れて…
(俺だけをみて…?)
無理矢理ではなにも手に入らない…
その答えにたどり着けない彼は、未だにその答えを探し、闇にさまよう…
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