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今日はとても良い日だ(我愛羅)


我愛羅


その人は私の


大切な人


『…我愛羅…?』


我「なんだ」


彼の瞳はとても冷たい。人間をゴミを見るような目でみる。


『…どこかにいくの…?』


最近夜な夜な彼は家を抜け出すと、テマリさんから聞いた。


我「貴様には、関係ない」


…関係ない


その言葉が深く突き刺さる。


『…教えてくれたってい…』


我「黙れ!俺に構うな!」


私の言葉を遮り、怒鳴る我愛羅。


『…ごめんなさい…』


我愛羅はそのまま歩きだしてしまった。


今日はとても悪い日だ…


彼の機嫌は良くないらしい


一人残された私だったけど、どうしても気になり、後をつけた。


『公園…?』


しばらく歩き、我愛羅は公園に入っていった。


我愛羅がブランコの近くで立ち止まった。私はバレたと思い、身を強ばらせた。


しかし、我愛羅はその場にしゃがみ、懐から牛乳と皿を取り出した。すると、草村の茂みから一匹の子猫が現れた。


猫「ニャー」


我「おいで、ご飯だ。」


その瞬間、私の心がドックンと波打った。


子猫に向けられた優しい微笑み


我「よしよし…」


普段は人間をゴミのように見る瞳


その瞳から雲が消えたように綺麗に微笑む


『…やっぱり、あなたは優しい人だ…』


確かに普段は怖い


でも、あれが彼の全てではない


だって今あんなに優しく微笑んでる


『…ふふっ』


うれしくてつい、私も微笑んでしまった。


我「…いつまで隠れてるつもりだ…?」


『やっぱり、気付いてた…?』


隠れていた所から、我愛羅の元に歩み寄った。


我「バレバレだ…」


呆れ顔の我愛羅に、にっこり微笑んで隣にしゃがみこんだ。


『可愛い子猫だね』


我「そうだな…」


『どうして此処でミルクあげるの?』


我「…家では飼えないから」


『…私が引き取ろうか?』


その言葉に我愛羅は目を見開いて私を見た。


我「本当か!?」


『うん!』


そう返事をすると、我愛羅は嬉しそうに口端をあげて、子猫を撫でた。


我「よかったな…。飼い主が見つかったぞ。」


猫「ニャー」


『この子の名前とかある?』


その質問に、我愛羅は俯いた。そしてぼそぼそと何かを言っている。

『え…?なに?』


我「だから…ん…」


『聞こえないよ…;』


我「っ〜…だからムーン!!!///」


恥ずかしいのか顔を真っ赤にさせて怒鳴る。


『そ・そんなに大声で言うほど恥ずかしいの…?;』


我「うるさい!///」


顔を真っ赤にさせたまま下を向く我愛羅を、なんだか可愛く感じた。


『ふふっ。いい名前だね。どうしてムーン?』


我「…満月の日に見つけたから…」


『素敵だね』


我「…///」


今日はとてもいい日


だって今日は


いつもより彼と沢山の言葉を交わしたから


いつもより人間らしい彼を見たから


『たまには家に会いにきてね!』


我「…あぁ」


『また明日ね!』


我「また明日な…」


帰り際に、初めて交わした


さようなら


また明日


今日はとても良い日だ


明日もきっと良い日になる


腕の中のムーンを撫でながら、我愛羅の背を見送った。




(今日はとても良い日だ)


普段みれない素直な彼を見れたから


【あなたが理由で私の気持ちはクルクル変わる】



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