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ちょー腰が痛い。



「自業自得でござろう」

「違う、あたしのせいでは決してない!」



原因は言わずとも昨日の行いにある。あの後、自然と行った行為は朝まで続いた。何故だか昨日の晋助はいつもより激しかった。思い出すだけでも赤面してしまう。



「で、伊東はなんと?」

「このままいけば計画通りだってさ」



まずは土方を真選組から排除する、彼は自信に満ちた顔でそう言った。一体何をするつもりなのだろうか。あたし達鬼兵隊の出番は後半だからあまり真選組内での計画は聞いていない。普段ならどうとも思わないのに、今回は嫌でも気になってしまう。彼は、あの人に何をするつもりなのだろうか。



「…ねえ万斉、実はね」



幼い頃の恋心はまだあたしの中で生きていた。まあ仕方ない、本当に好きだったのだから。それは涙が出るほど切なくて。でもそれも最初だけ。今のあたしには晋助がいる。晋助があたしの全てなんだ。だからもう、悩むことなんてない。



「あたし真選組とは古い知り合いなの」

「……それは真か」

「うん、鬼兵隊に入る前はあの人達といたの」



万斉の三味線を弾く手が止まる。サングラスをかけている万斉の表情はわからない。



「晋助には内緒ね、言ったら止められるかもしれないから」

「…拙者も止めるかもしれぬぞ」

「大丈夫、万斉は」

「どこからその自信が出てくるのやら」

「お願い、やっと晋助の役に立てるんだもの」



そう、今までは他の幹部の人達のように大きな任務はくれなかった。それがやっと出来るのだから、今さらやめたくない。たとえその任務が大切な人の命を奪うようでも。やめるわけにはいかない。



「……拙者も主の頼みには弱いでござるな」

「やった、ありがと!万斉」

「しかし弥生、剣に迷いがあっては死ぬぞ」

「……わかってる」



覚悟は、できている。彼らに刀を向ける覚悟は。近藤さんはきっと悲しい顔をするに違いない。近藤さんは優しいから、もしかしたらあたしに刀さえ向けてこないかもしれない。十四郎と総悟はきっとすごく怒るんだろうなあ。



「そういうことでよろしくね、万斉」

「…わかったでござる」



ため息をつき、仕方なさそうに腰を上げる万斉に苦笑する。



「あぁ、そういえば晋助がこれが終わったら来るようにと言ってたでござるよ」

「晋助が?」

「主も愛されてるでござるな」

「そ、そんなこと…」



あたしの一番が晋助でも、晋助の一番はあたしじゃない。彼の一番は世界を壊すこと。だからたまに戸惑うんだ、彼があんなにもあたしを求めてくれることに。



「晋助ー、呼んだー?」

「……遅ェ、」



ギロリ、と睨まれ怒られるのかと思いきや、腕を引かれ向かい合わせになるよう晋助の脚の間に座らされる。そして腰に回された手、その手は撫でるように上へと移動した。



「ししし晋助っ」

「あァ?」

「な、何してんの」

「何って昨日の続きだろうが」

「ええええええ」

「なんか文句あんのか?」

「めめめ滅相もございませんんん(睨みちょー怖ェェエ)」



また昨日と同じ行為をするのかと思うと思わず顔に熱が集まる。しかしその中で感じる違和感。昨日から感じる彼の焦りのようなものを、あたしは気のせいにしていいのだろうか。



「ククッ、昨日みてーに甘ェ声で鳴けよ?」



(20091101)


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