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土方十四郎様
 
拝啓、初冬の候。こんにちは。こないだぶりですね。お怪我の様子はどうですか?怪我させてしまったこちらが言うのもおかしいですが。とにかく貴方達が無事で何よりです。早く怪我を治して下さいね。あ、そうそう。怪我といえば監察の彼も大丈夫ですか?こちらの腕の達つ使い手に斬られていたので心配です。彼は地味でしたが、貴方への忠心が強く少し興味が湧きました。今度是非とも名前を伺いたいものです。

今さらですが私のことを恨んでますか?いえ、聞くまでもありませんね。私と貴方は昔のようなかわいらしいライバルから本当の宿敵に変わってしまったのですから。しかしやはり昔が懐かしいですね。近藤さんは相変わらずゴリラで、貴方は相変わらず瞳孔開きまくりで、総悟は相変わらずドSでしたね。あら、少し言葉が悪かったでしょうか。すみません、昔を思い出していたらついイタズラ心がよみがえってしまったのです。あの頃は、…




「また書いてんのかァ?」

「また覗き?晋助」



筆を止め、後ろから覗いてくる晋助にもたれ掛かった。



「…よっぽど好きらしいなァそいつのことが」

「昔の話だよ」



あの動乱の後、あたしは大変だった。晋助は本気で怒ってくれていたのか、しばらくは離れてくれなかった。あんなバカなことはもう二度とするなとまで掠れ声で言われてしまった。痛いほど晋助の想いを感じたあたしはもう死ねないのだろう。



「俺ァてめーを手離す気はねェよ」



あと晋助なりに妬いてくれてるようで。不謹慎にもちょっと嬉しかったりした。そんなこと言ったら殺されそうだから言わないけど。



「ってなんであたしは押し倒されてんの」

「何言ってんだ、まだ仕置きは終わってねェぜ」

「ままま待って!任務については一応目的を果たしたんだし!」



あたしのその言葉に晋助はピクリとする。どうしたのかと聞けば万斉と同じことを言うなと言われ、苦笑い。これはきっと押し倒されたまま、おいしくいただかれるだろう。でも、だって本当に今回の任務は真選組の目を幕府中央から反らすことだったから。



「でもなんか負けたみたいで悔しかったから、ちょっとイタズラしてきちゃったけど」







「死ね土方」



あの動乱が終わってしばらく経った今日、縁側で一服していたら総悟がやってきた。物騒なモンまで持って。隣で同じように休憩していた近藤さんはそれを見てガハハと笑う。



「いや、なんでだよ!」

「いや、ぼーっとしてやしたからてっきり殺してくれと言ってるのかと」

「うるせーよ」

「…弥生のことか?トシ」

「あァ、ったく変な紙切れ残していきやがって」



ざまーみろ
あたしを敵に回したこと後悔しろバーカ


後日届いた手紙。差出人は書いてなかったが、そんなの書いてなくてもわかる。こんなことするヤツはあいつしかいねェ。



「バカはあいつでィ、外見は変わってもこういう中身は変わりやせんね」

「まったくだ」

「弥生、戻ってきてくれねーかなァ俺達のところに」



…みんな大好き
次は負けないよ


敵だとわかってからも、近藤さんは未だに昔のように戻りたいと思っているようだ。珍しく総悟まで。いや、俺もか。ったく、本当にどうかしてるぜ。



「…あいつァ俺がとめてやるよ」



拝啓、麗しのきみへ
私は貴方をしてました



「覚悟しやがれ、弥生」



次は愛してたとは言わせねェ。



(20091219)


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