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「あー、最悪」



良いことは続いて起こらないのに悪いことは続いて起こるもの。あたしは今そのことを身を持って体感している。なんでだ、なんでだよ。あたしなんか悪いことしたかな。

最近冬獅郎と何かあったわけじゃないんだけど避けられてる気がする。一緒に帰ることも、一緒にご飯を食べることもなくなった。やっぱりあたしが何かしたのか。でも思い当たる節もない。ただ単に冬獅郎があたしに愛想を尽かしただけなのか。

そんな風に悩んでいる中、あたしは親に仕事の都合で転校しなければならないことを告げられた。ほんと最悪。このまま冬獅郎と離れたくないし、友達とだって離れたくない。一人暮らしは親が許してくれたがやはり不安だ。もうほんとどうしていいのかわからない。だから、冬獅郎とこのことも含めちゃんと話をしようと放課後教室に行ったところ、目にしたのは知らない女の子と楽しそうに話す冬獅郎の姿。あたしは見た瞬間ついその場から走り去った。本当に最悪なことの連続。正直、ショックだった。あたしとはあんな風に話してくれないのに。最初こそ浮気とは考えなかったが、最近のことを考えると浮気されてもおかしくはないと思えてくる。



「いやでもこのままだと、冬獅郎から逃げてる感じだよね」



このままずるずるいくと本当に冬獅郎とダメになってしまう。やっぱり話そう。あたしはそう決心し、まだいるかわからないがもう一度教室へ向かった。

教室の戸を開けるとあの銀髪が見えた。まだいてよかったと胸を撫で下ろし、決心が揺るがないうちに話そうと冬獅郎のもとへ行く。



「冬獅郎、」



自分の口から出た冬獅郎の名前が、あまりにも弱々しい声だったのにビックリする。あたしってこんな声出るんだ、なんてこんなときに関心してしまう。しかし、それに対する冬獅郎の返事にあたしはもっと驚愕した。



「……なんだよ」



今までに聞いたことのないほど冷たい声。一瞬びくりとしたがそれ以上にどうしようもない怒りが湧いてきた。冬獅郎はあたしと話す気なんてこれっぽっちもないんだ。わかった、それが冬獅郎の気持ちなんだ。



「……やっぱり何でもない」



じゃあ何も言わずさよならしてやる。あたしも冷たく言いはなって、早足で帰った。







そう意地を張り続けて一週間。とうとうあたしがこの学校にいれる最後の日となってしまった。もちろん冬獅郎となんの進展もない。この一週間喋りもしなかった。あぁ、ほんとに今日で終わりなんだ。友達にも言うと泣いてしまいそうだから転校のことは言っていない。

あたしは放課後まで残り、自分の教室に別れを呟いた。そして最後の学校を目に焼き付けるようにゆっくりと廊下を歩いていた。



「おいっ、待てよ!!」



すると後ろから誰かが走ってくる音がした。誰かを呼び止めていたが、あたしじゃないだろうとそのまま歩いていると、手を掴まれた。



「、冬獅郎!?」



振り返ってみると思ってもみなかった彼だった。



「お前っ、転校するって…!」

「…なんで知って」

「職員室で教師が話してるのを聞いた」



このまま何も言わず別れようと思っていたが、知られたんじゃしょうがない。ちゃんと別れを告げよう。



「…冬獅郎、あたし達もうわか」

「行くな!!」



しかし告げようとした途端、掴まれた手を強く引っ張られ冬獅郎の胸へと引き寄せられた。一瞬何が起きたかわからない。本当ならば今さら何なのだと怒ってもおかしくなかったが、久しぶりのその温もりに何故か涙が出そうになった。



「どうして、だって冬獅郎」



あたしのこと避けてたじゃない。またしても言い終わる前に妨げられる。今度は久しぶりの深いキスで。



「…避けてて悪かった」

「………」

「こんなこと言われて困ると思うが、頼むから行かないでくれっ」



何も言わないあたしに冬獅郎はもう一度キスをした。そしていつの間にか流れていた涙を親指で拭ってくれた。



「なあ、行くなよ」



散々意地を張っていたけど、本当はこの言葉が聞きたかったんだと思う。



「俺のそばに、いてくれねえか」

「っうん、」



結局僕らは子どもだったんだ
中々素直になれないお年頃なのです

「で、どうしてあたしは避けられてたの?」

「…だってお前この前拒んだじゃねえか」

「え?」

「ヤろうとしたら」

「そんなこと!?だ、だってあの日は生理だったもの!」

「そんなことってお前、男の性欲ナメんじゃねえ!!」



(20100110)
枝乃様へ相互記念!
お待たせした上、こんな駄文で申し訳ないのですが、愛はいっぱい詰まっておりますので\(^O^)/←


あきゅろす。
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