どっちが好きですか※(兄/臨也)
「もっと脚開いてよ、臨也」
「んんっ…くぅっ!」
背後から攻められながら甘くて溶かすような声を耳に吹きこまれ、身体の中にいる椿自身を締め付けてしまう。
椿の形をリアルに感じてしまい声が漏れ、急いで口を手で覆ったが遅かったようだ。
「臨也って入れられてる時だけは素直だな」
「…椿さ、んの前では…いつも素直だよっ…んっ」
「上の口は生意気だけど」
腰の動きを早め、ラストスパートをかける。背中全体に感じる椿の体温におかしくなりそうだ。
―――まさか、自分が抱かれることになるとは。
ソファで横になっている臨也は、いつの間にか掛けられたタオルケットの温もりに気が付いた。
「椿、さん」
椿は既に白衣を身にまとい眼鏡をかけテストの採点をしているようだった。ちらりと臨也を見て、ペットボトルを投げ渡す。
乾いた喉に水を流し込んだ。
「良いんですか。生徒に手なんか出して、教育委員会に訴えますよ?」
「最初に手を出したのはお前。被害者は俺。OK?」
「それでも生徒を抱いた事実は変わらない。どちらの言葉を信じるんでしょうね」
「そんなネタで俺は揺れねぇよ、折原」
先程までの雰囲気を感じさせない椿に何となく苛立つ。
「今日は俺が入れるはずだったのに…」
「あ、そうだった?」
「椿さんもう一回しよう」
「やだ、疲れた」
「疲れたって、あなたタチだったでしょ」
「もう歳なの。お前みたいに淫乱じゃねぇの」
眼鏡を上げ赤ペンを走らせている椿が、臨也の顔を一度も見ずに会話を進めていた。既に教師のスイッチが入っている椿に、不満が募る。
「入れたい、入れさせて」
「何発情してんの」
「椿さんの喘ぎ声が聞きたい」
「また今度な」
それでも食い下がったが、椿は相手にせず採点が終わった用紙を整えていた。
また薬でも盛ってやろうかと思ったが、どうせあの時もわざと引っかかったのだろう。何度も同じ手が通用するとは限らない。
どうにかして抱いてやろうと思考していると、ぽんと頭に椿の手が被さった。
「乗ってくだろ?」
車のキーをちゃらちゃら鳴らし、仕事を終えた椿が帰宅の合図を送る。
「椿さんの家で続きでもしますか」
「しねぇよばか」
「一度くらい行かせて下さいよ。俺たちの仲じゃないですか」
「やだ。帰ったら楓に1日の疲れを癒してもらわないと」
「…好きですねぇ楓のこと」
椿の唯一の欠点は少々弟に対して愛情が大きいところだが、ギリギリ家族愛の中に収まっている。
「楓と俺どっちが好きですか」
「楓楓楓」
一瞬イラッとしたのは気のせいだろうか。
>>>アトノマツリ
(゚ω゚)
(2010/03/11)
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