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収穫数99/クロナ



「う、ひっく」

「……」


泣いて、る
理由は分かってる
僕がこの子の両親を殺したから
だってしょうがないよ。メドゥーサ様が喰らえって言ったんだ。だから僕は悪くない


「あ…れぇ…?」


僕がしている事は悪い事…?違う。そんな訳ない

「お母さ…ん」


俯いて座り込むこの女の子
スカートに大きなしみができていて、それは渇くことなく大きくなっていく

近付いた僕に気が付いて、ゆっくりと顔をあげる。大きな丸い瞳は底深い暗黒の色だった。目の周りは真っ赤に腫れている。髪の毛にいくらか木屑が絡まっている


「……だ、れ?」


不思議そうに首を傾げ、見上げてくる。何も知らない少女は怯えない


「僕は、クロナ」

「くろな……?」

「そうだよ」


そしてまた再び僕の名前を呟く少女。ぽろりと涙が頬を伝う


「お母さんと…同じ名前だあ…」

「……え…」


僕と、同じ名前…?


「うぅ…」

「……」


また泣き出した少女に胸がぎしぎしと鳴った。別に僕は悪い事してないのに、喉に空気がはりついてヒューヒューいってる

泣かないで、泣かないでよ。僕だって泣きたいよ
メドゥーサ様の命令だったんだ。今日の内に100人の魂をラグナロクに食べさせなきゃあの暗い暗い部屋に閉じ込められちゃう

想像するだけで背筋が凍るよ。何も見えない世界で、たったひとり。時々出てくるラグナロクは僕をぼこる

僕だって本当は、


「……?」

「い、る…?」


ポケットに入っていた苺飴を差し出してみる。でもすかさずラグナロクが背中から反論を言う


「おい待てクロナァ!それは俺のだ!」

「!」

「ラグナロクには…後であげるから…」

「知るかそんなの!」

「あ…あの」

「…?」

「わたし…飴、いらないよ」


また俯いた女の子。ラグナロクを睨んでみる


「……チッ」


ばりん、と音がした


「ほらよ」


差し出されたのは半分に欠けた苺飴。ぼりぼりと飴を噛み砕くラグナロクを驚きながら見上げる
「勘違いすんなよ。ただ腹がいっぱいだっただけだ!」

「ありがとう…」


女の子は口に飴を含むと、にこりと微笑んだ。それを見た瞬間僕の肩から力が抜ける


ごめん、ね


「ごめん…」

「……?」


君は僕が君の両親を殺した張本人だって知らないから。無垢な君はあまりにも純粋なあまり僕を傷付けるだろう


「君の名前は?」

「なまえ。」

「なまえ…




僕と、一緒に…行こう?」































収穫数99
(君を入れて、ちょうど100個の魂)














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あきゅろす。
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