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小説



薄暗い部屋。
ダブル…いや、セミダブルのベッド。
黒いサテンのシーツ。
アロマディフューザーの明かり。
枕元には黒いケースに詰め替えられたティッシュ。

色っぽさ抜群の寝室で落ち着く事が出来ず何度も寝返りを打つ。だって布団の中で真っ裸だし、正確に言うとタオルは巻いてるけれど。

経験のない俺は相手がシャワーを浴びている間の待ち時間は何をしていいのか解らない…パンツだけを履くか、潔く裸で待つか。
相手が出て来たらどう迎えればいいんだ?とか下らない事を考えてる内に寝室のドアが開く。

「遅くなってごめんな」

しかも蓮は黒いバスローブを来て余裕ありげな顔で帰ってきやがった。
俺も余裕のある表情で布団をかぶったままベッドに座った。すぐ隣に蓮も入ってきて沈黙のまま過ごした。
…嫌だこの時間。

「言っておくけど…ふつつか者だからな俺。蓮は何回もヤってるんだろうけどよ」

耐え切れなくなった俺がはいた言葉。
蓮は

「俺はいいから、修人が気持ち良くなればいいよ」

といい、俺の上に乗り抱きついた。温かい体温を全身に感じくすぐったい…てか、股間にお前のもあたって恥ずかしいと思っていたら蓮にキスされた…しかも息は荒く舌を絡め唾液が音を立てる。「ッふ…あ」と耳にくすぐったく、蓮の甘い声が聞こえた。頭がぼっーと熱くなる…キスも気持ちいいんだな。
身体に蓮の長い指が沿い俺は身体を震わせた。自分で触るのと感触が全く違うし、一人遊びをする時はもっぱら股間だけをいじってたから気がつかないが他の場所も気持ちがいいとは知らなかった。

「あっ」と声をだしながら…勝手にこんな恥ずかし声が出るんだけどキスしながら乳首や腰を優しい手つきでさする蓮に俺は完全に酔い悶えるだけだ。俺もコイツに何かしてやらなきゃなんないんだろうが、なんせ童貞だからマグロ状態だ…くそっ。蓮の手が俺の股間に伸び触れだした所で「ちょっとストップ」とやつを静止した。


「ごめん…嫌だった?」

互いに半裸でベッドに座り込む。嫌じゃなかったよ…気持ち良くて急に恐くなったんだよ。不思議だろ…
急な展開に俺達の熱かった空気は醒めてしまったようだ。冷静になり俺は蓮に問いたい事を思い出した。

「どこが好きな訳?俺の」

いつかは他人に言いたかった言葉を嫌いな人間に聞くはめになるとは…

「修人の全部だよ…正直な所、言葉はキツイけれどそれだけ思ってくれてる所や強い意思を持った顔も、他にも大好きで言い切れない…修人にたくさん助けてもらったから」


蓮は満面の笑顔で返してくれた…。
言われている今ですら信じられないんだけど、予想外な告白をありがたいと思えたのは蓮の笑顔のせいだ。写真コンテストにだしたら賞状ものだろう…いい顔してやがるだけど

「泣いたの?」

薄暗い部屋で気がつかなかったが、目が赤く腫れていた。シャワーだけにしては長風呂だった、もしかして泣いてた訳?


「大丈夫…ただ、修人と話が出来るのも最後だろうって思ったらさ。女々しいな」


その言葉は俺の頭の中を切れさせた。
ここからは俺が言ったんじゃない…俺の中の天使が喋りやがったんだ。本心ってやつを


「勝手に終わらせてんじゃねぇよ…」

今度は蓮の上に乗り、さっきされたキスの真似をし身体を触る。


俺の中に住む天使も乱暴なヤツみたいだけど…




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あきゅろす。
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