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小説
文弥Side…6



あんな事があって数日が経った。
優太は何事もなかった様に接してくれている。
変わったのは俺だ。優太の顔を見るのがとても痛い。だけど、嫌われたならもっと痛かったのだと思える。身体の傷の痛みもとれだし、傷痕も少しずつ薄くなってきた。

後一つ変わったのは、俺は優太とあの後から身体を見せてない…まったくセックスしてないんだ。
こんな傷がある身体を見せたくないのもあるし、大切にしろといわれ臆病になっている。俺が望んでるのは、優太ではなくセックスの最中の安心感なのかと…。誰でもいい訳ではないと思うんだけどな…。優太は優太でいつもの様に自分からは来ない。今考えると優太はこんな気持ちで誘う俺に対し臆病だったのかと解った。

「外は暑そうだな…」

長い休みに入り、俺の部屋で塾のない日は毎日来てくれ、くつろぐ様になった優太は身体を横たえながらマンガを読んで独り言を言う。
隣で勉強してた俺はそんな優太の身体を見る。
焼けた体格のいい身体にタンクトップが良く似合った。キレイな金色の髪も少し短く切り、暑い為に薄着をしており身体のラインがよく見えた。
そんな大きな身体に包まれるから安心できるのだろうなと思う。

「なあ、文弥。今日は俺の家に泊まらない?」

今日は家族みんなが町内の旅行や部活の合宿でちょうど居ないからと優太は続けた。

「いいよ…行きたい。優太の家」

人の家に泊まるのなんて初めての経験。まあホテルには何度もあるが…

俺の返事を聞いた優太は部屋を片付けてくると帰って行った。
夕方に待ち合わせをした後、俺は泊まる為に荷物をつめる…まあ、家から近いし取りに帰れる距離なんだが、お泊りする気分を味わいたかった。
眼鏡ケースと…家族は居ないって言ってたから土産はいいか、でも何か持っていったらいいかな…。服は貸してもらおうか…。
そんな単純な事がすごく面白い。自分と違うタイプの優太と付き合い出していろいろ経験させてもらってる事に改めて感謝した。


待ち合わせの時間になり優太の家に行く、迷った俺はコンビニで飲み物と菓子を買い家の前にたつと2階の窓から優太は顔を覗かせた。

「ごめん、まだ片付けの途中だから勝手に上がって」

俺は一度だけ上がった事のある部屋に向かう。
部屋をあけると頭にタオルを巻いた優太が向かえてくれた。

「座ってて、寝るスペースだけでも空けるからさ」

部屋は窓ガラスが全開されており、掃除機が置かれ隅には服や雑誌が乱雑に寄せられてる。

「これ…買ってきたから食べて」

俺は机に袋を置き座る。

「悪いな。暑いだろ?すぐ終わらせてクーラーつけるから」

少しの間、片付ける優太を見ていたが俺は机を拭いたりし手伝いをした。
ふり向いた優太は「ありがとな」と言い片付けを再開した。

「部屋の片付けなんかしたの久しぶりだ」

掃除が終わりクーラーをつけた涼しい部屋で俺達は買ってきた飲み物を飲んだ。辺りはもう暗くなっていた。

「腹へったな。文弥は?」

「ああ、そろそろ何か食べたい」

俺も汗をかきながら掃除したので久しぶりに腹がすいた。
優太と一緒に下の台所に行き、テーブルに座った。
優太は台所に立ち、火をつけご飯をよそったり、副食を温めたりしてくれた。

「…これ、優太が作った訳じゃないよな」

テーブルに並んだ、日本らしい家庭的な料理を見て問う。

「まさか、姉貴だよ。今日、文弥が泊まるかもって言ったら、あのカッコイイ子ね。って張り切りやがって」

優太は笑いながら席につき食べだした。
俺も手を合わせ口に入れた。
普段、何を食べてもあまり変わらないと思ってた俺だったが美味しかった。

「美味いね。お姉さんにお礼言っておいて…ありがとうって」

優太はまた笑いどんどん進めてきてくれた。
その後は別々に風呂に入り、優太のTシャツを借り部屋にあがり二人で横になった。
部屋の中は優太の香水の匂いがして落ち着く…。

「なあ、これ見ていい?」

積み上げられた雑誌の中から卒業文集を見つけ指さす。返事をもらった俺は文集を開いた。
髪を染めてない少し幼い優太が笑っていた。

「…弟、お前にそっくり」

「兄弟だしね。でも俺は姉貴との方が顔が近いと思う」

そう言いアルバムを取り出した。
家族の写真や俺もみた事のあるクラスメイトと撮った写真がバラバラと出てきた。

「楽しそうな写真ばかり」

「バカばかりしてきたからね」

優太は笑い色々なエピソードを話てくれた。
俺の写真なんて最近撮ったの思いつかないな…援交してて男に撮られた位かなんて事を考えていたら、何かを察したのか優太は

「これからも何処か行って遊ぼうな」

と言い笑いかけてくれた。
それも嬉しかったが、これからがある事がとても嬉しい。

「あっ、このアルバムには…」

優太は積み上げられている本の間からアルバムを取ろうとすると本が崩れバサバサと散らばった。
起き上がり俺が本を積み直してると、開いた雑誌が目についた。

「ありすチャンの内緒の放課後レッス…」

本の中には眼鏡をかけた女の子が裸に制服のリボンをつけ色々なポーズをとっていた。手に持ち読み上げた俺の手から優太は本を引ったくった。顔は真っ赤になり、何も言わない…。

「いいじゃん、見せてよありすチャンを」

俺が手を伸ばすと

「これはダメ」

と必死になり隠す。

「あっここにも怪しい本が」

優太が焦り隙を見せた瞬間、俺はありすチャンを取りあげた。
お気に入りなのか、何度もそのページを開いたようで、すぐ同じページをひらけた。

「優等生のありすチャンは放課後になると…なんだコレ。アホらしい。ねぇ優太、好きなんだね。この子が」

俺は笑いながら子供に本の朗読をする様に見せ読んだ。
厭味じゃなく照れる優太が可愛いくて…

「違うからな…仕方ないんだよ。男だから…文弥は大切なんだ。だから違うんだよ」

意味不明な言い訳をした。初めは解らなかったが、またありすチャンを見る。その内に俺との共通点を見つけ思ってしまった。この子、俺に似てるわ。と

「なあ…この子を俺に見立てたりして、利き手で一人遊びを…」

からかいながら、そこまで言うと優太はありすチャンをまた俺から奪う。

「…男だから溜まるものもあってさ。ただ違うんだよ本当に…お前が嫌なら一生しなくていいと思うし。大切にしたいんだ」

真っ赤になっていた顔は真剣な表情を見せる。

「優太、俺さ…まだ自分の身体とか自身をどうでもいいと思っているよ。ずっと適当だったし。ただ優太がいう大切な俺だからこそ、俺はお前に何されても平気だと思うようになったんだ」

頭で考えなくとも口から素直に出てきた言葉。
優太は微笑み抱きしめてくれた。久しぶりの温かさに俺は夢中になり優太の身体に擦りよる。ずっと、この温かさが恋しかったんだ。

優太は戸惑いの表情を見せながらも俺を床に寝かしてくれ口を合わせてくれた。
着ていた上着を脱ぎすてた優太は俺の服に手をかけた…

「待って」

俺は、まだ傷跡の残る身体を優太には見せられなかった。

「お願い…恥ずかしいから暗くして」

見せたくない理由はあったが、それを言いたくない俺はその言葉でごまかした。
それが解ったのか優太は髪をなで、大丈夫だよといいながらも電気を消してくれた。家の外は明るいため真っ暗にはならず、お互いの姿がぼんやりとまだらに見えた。
座り向きあった俺達はまたキスをし、優太はいつものように優しく服を脱がしてくれた。裸になった俺は自分の身体を見る…うす暗いため傷跡は見えにくい。安心した俺は自分で身体を横たえ優太を待つ。
すぐ、優太は俺の上に乗り首を舌先でくすぐってきた。

「…ん」

耳の裏を舐められ、間近で感じられる音と優太の髪が顔にかかり香りにすぐ心が持ってゆかれた。
身体に触れる、優太の男性器がもう大きくなっているのに俺は嬉しくなり笑った。
優太のを触りながら

「…なあ、どんな妄想してたの?ありすチャンで」

話をぶり反し質問する。

「もう忘れてよ…そんなの」

暗がりの中、優太は俺の顔を見ながら恥ずかしそうな声で答えた。

「こうやってたんでしょ?」

優太の男性器を手で包み動かす。
少し、うめき声ような声ををあげた優太は息を切らしながら

「止めてって」

といいながら、外の明かりに照らされ目を薄くする顔が見えた。優太は片腕で自分の身体を支え、俺のも撫でだした。恐る恐る触る手つきが変にくすぐったく気持ちいい。優太のが大きくなる度に、俺を触る手つきもだんだんと激しくなってくる。自分のをすりあげるように。

「ふ…文弥、俺もうダメかも」

息をあらげながら優太は言う。

「んッ、きょ…う早…くない、はぁ。いッあ…つも俺のほが…ああ」

もう声にならない言葉で俺は答える。

「ふみ…、あッ」

優太は温かいものを俺の腹にかけた。その時、俺も身体が跳ねた。
俺から離れ座った優太の目の前に俺は座り自分が出した体液がついた優太の手を舐める。優太の指は細く長いが骨ばっている。男らしい指を一本、一本音を立ててキレイにした。いつも撫でてくれる手が愛おしい…
そして今度は反対に優太を床に倒し、横たえる優太の男性器を顔を横にし唇で挟む。付け根から先端へ…
そしていっきに口へ含んだ。

「文弥…それヤバい…さっきイったばかりなのに…」

乳児がおしゃぶりを夢中で吸うように俺も夢中だった。また大きく動きだしたモノの感触を口で味わう。そして先走りを俺はクチュッとすいあげ顔をあげた。

「ねえ…優太、すごく濃いけどありすチャンじゃ満たしてくれなかったの?」

「…本物の文弥には負けるよ」

と息を吐きながら言う優太に嬉しくなりまたくわえ続けた。優太は気持ちいいのか俺の頭を大きな手で包み抑えるわけでもなく頭をクシャクシャと掻き分け続けた。

「もういいよ…お前も気持ちよくさせて」

そう言われ顔と上半身だけ床につき俯せになり腰をあげた。
穴を口で吸い一回舐め準備ができていると解ると優太が大きな身体を上からかぶらせ俺の両手を両手で抑えた優太はゆっくりと俺の中へ入ってきた。
そして腰を強く打ちつけてきた。

「あッ、すご…ッふああ、ひあ」

普段より激しいつきと、全身で身体を抑えつけられ動きにくい身体全体で衝撃を受ける。肉を叩かれるような音にも耳で感じてしまう。

「ふあっ…ひッ、うああ…おかひッ…くなう…ふうッ」

抑えられてる為、身体中が優太にすべて支配されてる様な感覚に俺は従う。心も支配されまっ白だ。全部、優太の思うままに動きたいと願う。

「ひぃぃ…あふっ、ッんは」

強い突きに何度も腰を落としてしまうが優太のすべてを受けたいとその度に足で床をけり身体起こす。
まだ、この快感を終わらせたくないと願う俺だったが、身体は勝手に絶頂をむかえてしまった。
力尽きた俺は床に吸い寄せられ倒れる。優太も我慢できなかったのか、穴の中に温かいものを出し俺の上へ倒れる。耳元で荒い息がかかり、だんだんと落ちついてきたと思うと後ろから抱きしめられる。
そして頭を撫でてくれる手の温かさに俺は叱られた後、許しをもらえた子供ように涙を流していた。

「…大丈夫だから。お前を一人にさせないから…」

優太は強く抱きしめてくれる。

「違うよ。寂しくて泣いてるんじゃない…安心したんだ」

あの男が言ってたような、いつも相手にすがり寂しさを紛らわす為に行為を要求する時の涙じゃないと自分ではっきりと解る。
いや、覚えてる訳ではないが…この涙は心が痛くて出る訳ではないと身体で感じる。感動の涙だと。

「本当に?文弥、何も心配ないからね…お前の事好きだから」

そして、この言葉を言いながら撫でてくれる手もなんとなく身体が覚えてる。きっと、こうやって優太はいつも優しい言葉を精一杯かけてくれながら俺を慰めてくれてたのだろうと。

薄明かりの中、そのまま俺達は談笑した。
そしてどちらともなく、眠りにつく。

自分の家より、初めて来たこの部屋は安心し落ち着く。
それはきっと、一緒にいる人物とこの香りのおかげだ。



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