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小説



要と尚樹はこの世間から閉鎖された学園の生徒だった。
中・高校ともに全寮制であり社会的地位、経済的に高いレベルにいる親達がいる生徒しか入れない名門校だった。

尚樹の親は不動産屋の社長。親族も何かしら事業家だった。
要の親は尚樹の親族の関係の小さな会社だった。


子供の頃から顔見知りだった2人だったが、高校生になり同室になり仲良くなった。気が優しくおとなしい要と、勝ち気で荒っぽい尚樹だったが不思議と気があった。お互いのないモノを補う様に。

同室になり悩み事などの深い話もするようになり、自分にはない尚樹の強さに要は友達とは違う好意を持ち始めるのには時間はかからなかった。いつの日にか付き合うようになり、身体の関係を持ち始めた。
学園の寮生活という閉鎖された空間という事もあり尚樹からしたら始めは他人を使った自慰行為だったのかもはしれないが…
恋人同士という、周りには秘密の関係を続けていた訳だが、高校生活の最後の年二人は離れる事になる。




「結婚するって…尚樹、どういう事」

連休、尚樹の家で身体を重ねた後、ベッドの上に腰かけた尚樹の背に要は問う。

「親の知り合いの女と寝たら、この前ガキが出来たってほざくからさ…仕方ねぇんだよ。親は関係が出来た事に喜んでやがるしさ」

笑い、事もなげに話す尚樹。

「…また浮気してたの。酷いよ」

性に関して奔放な尚樹。これまで何回か浮気する事はあったが好きという事から許していた要だった。

「解ったよ尚樹…もう終わりなんだね」

要はいつの日かこんな日がくると解っていた気はしていた。
どこかで安心したような気もした。

「…いや、お前は俺の家にくればいい。結婚して親の会社を継いだら使用人でもなんでもいいから役割やるから。ただ、関係を続ければいいんだよ」

振り向き要を抱きしめ狡猾に笑う。

「女もお前の事、了承してるから。俺の会社と関係が持てるだけでいいみたいな馬鹿女だからさ」

首筋に唇で愛撫してくる尚樹を要は振り払う。

「擬装結婚…って事?俺は愛人になれって事だよね」

息を荒げ要は尚樹を睨みつける。

「子供出来たんだよ?無責任だよ。勝手すぎる。もう尚樹には付き合ってられないから」

そう言い、ベッドから降り急いで服を着ようとする要を尚樹は髪を掴み俯せにベッドへ押し倒した。

「……いたっ。なっ何する」

また髪を掴みベッドへ顔を押し付けられた。

「…何ふざけてんの…別れるつもり?どっちにしろ、お前は俺から離れられないようにしようとしてたからさ…身体の相性いいしさ」

グリグリとベッドに顔を抑えられ息が出来ない。

「いつも喜んでる癖にさ。身体弄ばれて」

蕾に人差し指を入れ遊ぶ。
要は抑えつけられ声にならないものを漏らす。

「優しくされたら調子に乗るんだね。これからはお仕置きもしなくちゃな」

尚樹は要の髪を掴んでいた手を離し、片手で要の両腕抑えつける。
もう一つの片手では蕾を刺激し続ける性行為の後ともあり、ほぐれてはいたが、いっきに指を3本入れ乱暴に動し始めた。

「あッ…やだやだ、っ離してよ…んっ、ああっ、ひどい」

逃げる事の出来ない痛みに要は涙を浮かべる。

「俺の事好きなんだろ要?」

笑いながら尚樹は要を攻める。

「あっ、なっ尚樹は俺の事…好きじゃない…癖にっ」

痛みに堪え、必死に答える要の身体から尚樹は手を離す。

「好きだよ?お前の事…」

口元だけ笑う尚樹。

拘束がとけ、ベッドの端へ逃げた要は傍にあった布団を掴み身体を隠しカタカタと震えながら尚樹を睨む。

「俺の事、オモチャにしか思ってないんだよ…思うようにならないと許せないんだ。ただ、俺は尚樹が好きだったから我慢出来たけどもう無理だよ」

浮気される度、前々から感じていた事だった。子供の頃から欲しいものを与えられていた、何でも自由になる尚樹だったから、自分以外の人は愛せずモノにしか見えてないのではと要。
いつか自分がそんな尚樹を変えられたらとまで思っていたが今回の事は我慢が出来なかった。
しゃくりあげ泣く要に、尚樹は無表情で近づき片手で首を掴む。そしてそのまま壁に押し付けた。

「っかは、苦し…いっ」

「……好きだよ。俺の気持ち解らないの?」

壁に押し付け、要の顔を見ながら気が遠のく寸前で手を離す。
ベッドに落ち前屈みになり咳をし息を整える要をベッドに仰向けに倒し、尚樹は要の腹に乗り頬を平手で打ちつけた。

パンッと叩く音が部屋中に響く。

「…いッ」

声を漏らし逃げようと身体をくねらせるが体重をかけられ身動きできない。平手が両頬打ち続けられた。しばらく音がなりやまず、痛みと恐怖心でおとなしくなった要を見て尚樹は叩く手を止める。
要の頬は腫れ目は涙で潤んでいる。震え尚樹の無表情な顔を要は見つめる。

「痛い事したらおとなしくなるんだね、お前。これからは躾てやるよ。…それに可愛いよ今のお前の顔」

頬をつたう涙を尚樹は舐めて拭きとる。

その後、要は抵抗せず、尚樹の乱暴な性行為を受け続けた。


「逃げてもぜってぇ…逃がさないからな。一生お前は俺のだから」

攻め続けられながら、上の空で聞いた尚樹の言葉が頭に残しながら


長い時間遊ばれ、尚樹から解放され要は自宅に戻った。
次の日は学校がある日だったが、あんな出来事の後、寮に戻り二人きりになりたくなく。

自宅に戻った要は家の異変に気がつく。
モノがなくなっている…
リビングに入り家具のない部屋に座っていた両親に声をかける。

「帰ってきてたのか…あのな要…父さんな失敗したんだよ。会社を潰してしまった…」

淡々と要に話す父親。隣に座る母親は声をあげ泣きだす。

「悪いけど、学校も辞めなくてはならないんだ…身を隠さなくてはいけない…許してくれ」

両親の悲しそうな顔。
自分の知らない所で両親は困り、危険な事をしてしまっていたのだ。

「大丈夫だよ。俺もなんとかするよ。働いて助けるから…」

深い愛情を込めて育ててくれた両親をせめれず要は笑った。
尚樹との関係も切り両親の為に生きると決め。

その夜、家族で誰にも言わず子供の頃から住み慣れた街を離れた。

後は人目を避け身元も隠し、ひたすらいろいろな仕事をした。
早く時は流れて、要が29歳になったある日、体の弱かった母親は死んだ。
父親も妻が亡くなったという心労がたたってか入院した。

母親を苦労のまま死なせてしまった事もあり、要は父親を大切にしたいと改めて誓う。父親の入院費用が必要となり、これからは金がいると人づてで、新しい仕事を探してる時に紹介された仕事があった。

「家事手伝いのいい仕事がある」



何でもやりますと、紹介された家を訪ねる
地図を見ながら、訪ねた先を見る高級住宅街が建ち並んでいたが、自分が訪ねた家はその中でも大きく立派な家だった。

標札には江原と…

聞き慣れた思い出したくない名前だったが、いくらでもある名前だと気にする事なく門の前に立つ。
立派な屋敷庭に生い茂る木の間から刺す日が眩しい。
鳥の鳴く声を聞きながらインターフォンを押す。

中からは黒いスーツ姿の年配の男が出てた。使用人だろう。何人か使用人がいる事も聞いていた。痩せて金もないため貧相な要の身なりに男は警戒していたようだが、紹介された人の名前を出すと深くお辞儀をされ家の中に通された。要は男に案内され応接間に入り黒い革の柔らかいソファーに座る。主人を呼ぶとコーヒーを出され、部屋の中に広がるいい香りを楽しみながら飲み、この屋敷の主人を待った。

程なく、カチャっとドアの開く音がし、少しだけ開いた扉から少年が顔を覗かせる。不安そうな顔でコチラを眺めている。
その少年の顔に懐かしさを感じ、何かの予感を感じたが考える間を与えず乱暴にドアが開かれた。

「つっ立てないで早く入れよ」

大きな声で怒鳴り少年の肩を押し男が入ってきた。

男は要にとって忘れたい人物。
あの頃より自分と同じだけ年をとっているが面影の変わらぬ尚樹だった。
スーツ姿が堂々としている。

「…久しぶりだね。要」

本能でとっさに席を立ち、ドアに向かった要だったがその瞬間、少年は内からドアの鍵をしめ、内鍵の鍵を握りしめ必死に取られぬよう胸隠す。

「なっ」

少年から鍵を取り開けようとしたが、あまりの恐怖の顔と震える体に無理に取る事ができず尚樹の方に振り向く。

「会いたかった。探してたんだよ」
腕を組み要に笑いかける。

「私は貴方と会いたくありませんでした。帰りますから」

他人行儀な要の態度にため息をつきながらも尚樹続ける。

「親も死んで、俺のやりたい様にできるようになった。女とも縁を切る事にしたんだ。お前がだけを愛する事にするよ。これでお前は満足だろ?俺の気持ちは変わらない。一緒に住もう」

要に近づき手を伸ばす。
要は尚樹の手を振り払うが掴まれ、強引に抱き寄せられた。

「離せよッ。もう俺にはそんな気持ちはないから」

押しのけようとするが身体の小さい要は尚樹に力強く抱きしめられ離れられない。

「逃がさないっていったろ?12年も待ったんだ、もう我慢しない」

そういい要の唇に舌を入れる。舌を絡ませる激しい動きに息が出来ず苦しむ。
その時、視線を感じ薄目でその先をみる。少年が震えながら上目で目を大きく開け、大人達の行為を見ていたのだ。

手が少し緩んだ隙に抵抗し尚樹を押しのけた。

「何を考えてるんだよ。子供の前で」

尚樹は「ああ」と見下した目で少年を見て手を振り上げ顔を叩いた。
パンッとした音と共に少年は床に転んだ。
「見るな。本当に頭の悪いガキだ。母親と同じだな」

叩いた方の手を払いながら床に寝る少年を睨みつける。
急な事に要は何もできずただ立っている事しかできなかった。

「いつまで床で寝てるんだ。早く立て」

尚樹の怒鳴り声に少年は小さな声で返事をし目を潤ませ立ち上がる。

「…まあ、あの女も少しは役にはたったかな。こんなガキでも一応、後継者ってヤツを作ってくれた訳だし」

くくっと独り言を言い笑う。

「俺は何でも手に入れている…後はお前だけが欲しいんだ」

尚樹は要を見つめる。

「何度も言わせるな。もう終わった事なんだよ尚樹」

要は尚樹を見つめ返した。

少しの間、見つめあう二人だったが尚樹が口を開いた。

「お前の父親…どうなってもいいの?」

「何をする気だ…」

父親を出され怯む要。

「要が仕事出来ないようにしてやってもいいし…金さえあれば何でもしてくれる輩もいるしさぁ…」

ただの脅迫じゃない事は解っていた。
尚樹にはそれだけできる財力も力もあると…
要はここに呼ばれたのは仕組まれた事だと理解した。
苦労してきた父親。病気で苦しんでいる父親の顔を思いだす。
尚樹は要に元の関係をもつ事を強要しているのだ。
優しい父親は悲しむだろうと思った。だが尚樹に逆らうと酷い事になると解っている。
我慢すれば、黙っていたらいいんだ。と要は胸を握る。

「貴方のモノになれば父には手を出しませんか?」

小声で尚樹に問う。

「そうだね。嬉しいよ、要。またお前が俺のモノになるんだ」

尚樹は要に口づけた。

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