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短品
tales 13.5
長品『天空の城門』
―tales.13の続き




「ったくガイの野郎、見損なったぜ」


先程、ガイに改めて女性と間違われて少しイライラしているユーリ、パーティー会場内を、少し荒い足どりでルークを探していた。


「ナタリアも陛下に呼ばれちまったし、何処行ったかなルークのやつ」


"シュザンヌ様の用事も終わった頃だろうし"と思いつつも、先程から赤髪が見えない。


「どっか遊びに行ったかな……」


探す場所を変えようと踵を返した時だった。


「ねぇ君」

「ん?」


誰かに声をかけられた。
振り向いてみると、同じ歳くらいの少年達がいた。


「はじめまして、先程から誰かを探しているようだったけど…」

「もしかしてダンスのお相手でも探していたのかい?」

「だったら僕達が相手をしてあげるよ」


また来た、とユーリは思った。


「君さ、可愛いよね、何処の家の子?」

「よかったら一緒に今度お茶しようよ」


いつもパーティーの時はこうなのだ、ユーリの事を女の子だと勘違いしたどっかのお坊ちゃまがナンパしに来るのだ。


「悪いがその誘いは受けられない、今忙しいんだ」

「へぇ、意外と強気なんだ」

「気に入ったよ、今度僕の屋敷に来てくれないかな?」


これもいつもの事だが、何でかは知らないが、金持ちのお坊ちゃまは強気な女性が好みのようで、いつも勝手に気に入られる。


「だから断るって…忙しいんだよ、せめて後にしてくれ、後にしても返事は一緒だけどな」


さらに突き放すように言うと相手はさらに本気になったみたいで、猛アタックをしてくる。


「そう言わずさ」

「僕と遊ぼうよ」

「あ〜っ、ウザぃっ!!」


いつもの様に、無視して小走りで逃げる。
いつもだったら嫌われた、と思ったお坊ちゃま方は追いかけて来ないが、今回はしつこいお坊ちゃまだった。


「逃げないでよ、せめてダンスだけでもさ?」


後ろから腕を掴まれて引き止められてしまった。
"本当にウザい!!"そう思い、本気で殴ろうと坊ちゃんの方を振り向いた時だった。


「おっと、彼女を離してくれないかな?」

「……ガイ?」


ユーリとお坊ちゃまの間に入って来たのは、先程ユーリの拳の犠牲になったガイであった。


「彼女の先客なんだ、諦めてくれ」


ガイはそう言うと同時に、ユーリをダンスホールに連れ出した。


「大丈夫かユーリ?」

「お前こそ大丈夫かその頭」


ユーリよりガイの方が大丈夫ではなさそうだ、ユーリが殴ったたんこぶが痛そうである。


「殴った本人が言うセリフか?それより、女役はできる?」

「不本意ながら、余裕だ」

「だったら一曲頼むよ」

「仕方ねぇな」


そう言って二人は向かい合ってお辞儀をした。
そして曲に合わせてダンスを踊り出す。


「ステップどうやって覚えたんだ?」

「シュザンヌ様に仕込まれたんだよ、ついでにドレスも毎回選んでくれてる」

「それは断れないな、ユーリはシュザンヌ様も大事にしてるもんな」


ユーリは"うるせぇ"と言って照れ隠しに顔を背けた。


「まぁ、助けてくれたのには感謝だな、ありがと」

「ああ、どういたしまして」


周りから見れば、仲つつまじい恋人の様に見えるとは、本人達は気付かないだろう。


「また次も是非、踊って貰いたいもんだな」

「ふざけてるとそのたんこぶが二段になるぜ」


ユーリのそのマジな目に少し恐怖を抱いたガイだったが、向こうから見知った赤髪が見えたので、話を反らすようにその赤髪に向かって手を振った。











悪い気がしないのは秘密だけどな。






(ガイだけズルイぞ!!オレもユーリと踊る!!)
(おいルーク、それって俺が女役ってことか?)
(当たり前だろ?)
(…頑張れユーリ)
(……)

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