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短品
入浴
※お風呂が共用でバンエルティア号に大浴場がある、と言う設定で繰り広げさせていただきます。








「一緒に風呂行かねぇ?」

「別にいいけど?」


ユーリのその返事を聞いて、ゼロスがガッツポーズを取ったのは言うまでもない。


王子様気質の金髪騎士、兼ユーリの幼馴染みでユーリ溺愛者のフレン・シーフォ。
並びに胡散臭いおっさんだが何処か油断も隙もない、いつもユーリに引っ付いて回っているレイヴン。
なんと今夜は、そのユーリ親衛隊と言わんばかりの二名がクエストに出てしまい、今日は帰って来ないのだ。
いつも何かしらからユーリを守って風呂も一緒に入らせないように見張ってきた二人が、である。
このチャンスを逃す手はない。
ユーリの裸体を見れる、人生に1度来るか来ないかの大チャンスなのだ。
ミッションを攻略するため、まずは約束を取り、ユーリの指定した30分後にゼロスはルンルン気分で行った、の、だが…。


「ユーリ!僕先に入ってるから早く来てね!」

「ユーリやっと来たな!遅いっつーの!」

「ユーリ早くしろ、僕にはゆっくり風呂に入っている時間は無いんだ」

「ユーリ!背中流しあいっこしようぜ!」

「おっユーリ!早く来いよ!洗う場所取られちまうぞ!」

「ご、ごめんなさい!スパーダには走らない様に言っとくから…ユーリも早く来てね」

「皆元気だなー、お前ら転けて怪我すんなよー」

「……」


そうだ、こんなチャンスを逃がす訳がない。
それを考えてるのは自分だけではなかった、よく考えればわかる事だった。
ここにいるメンバー全員がこの日はチャンスだと思った事だろう。


「…はぁ」

「どうしたゼロス?溜め息なんて…」

「いや…何時にも増して人数が多いなー、と…」

「そーいや、今日はやけに多いいな。誘ってきた奴も多かったし」


気付いてらっしゃらない!!
ユーリはこの人数の多さに疑問を持ったが、明らかに貴方目当てですよユーリさん。


「ま。風呂は人が多いと楽しいし、俺はちょっと楽しみにしてたんだよな」

(…へぇ)


楽しみにしてた、と言うユーリは本当に楽しそうに笑った。
ゼロスはユーリがこんな子供っぽい笑い方もするんだな、とちょっと驚いた。
こんな笑い方のユーリを見たのは初めてだった。


「ユーリ!まだ着替えてないのか?」

「今行くよ。それじゃ、俺達も早く入ろうぜ?」

「おっと、そうだった」


ユーリが遅いと感じたのか、ルークから早くと催促されてしまった。
まだガイやリオンなども着替え終わっていないのに何故自分だけ催促されるのだろうと言う疑問は生まれなかったらしい。
鈍感とは恐ろしい。
ユーリが棚に着替えとタオルを置く。
ゼロスもユーリの隣を陣取って着替え始める。


(それにしても…)


自分でお風呂に誘っておいて何だが。


(めちゃめちゃエロいんだけど…っ)


帯を外す動作や、上着を脱ぐ動作、どれも何処か色っぽい。
そして、段々と表になっていくユーリの白い肌に生唾を飲み込んだ。
そしてそれは周りにいた全員、同様だった。


(や、ヤバイ…ユーリの裸見れて嬉しいけど逆に後悔しそう…)


ルークも赤面しながら、でもユーリから目を離す事ができずドキドキしながら見ていた。
ユーリは腰にタオルを巻き、一本のゴムを取り出した。


(((ま、まさか…!!)))


全員がユーリを凝視した。
ユーリは髪の毛に手をかけると、髪を束にして持ち上げた。
そして上の方でお団子を作った。
所謂、アップと言うやつだった。


「よし、準備万端だな」

(((うなじktkr!!)))


全員の心の中がシンクロした瞬間だった。














「カロル痛くないか?」

「大丈夫だよ!」

「ユーリこそ痛くない?大丈夫?」

「ありがとなルカ、痛くねぇよ」


背中の流しあっこを始めた三人。
端から見れば仲のいい兄弟のようだ。
その様子を見ながら湯船に浸かるのはルーク、ゼロス、ガイ、リオン、ロイドにスパーダ。
他にも場所は離れているが、アッシュやアスベルにヒューバート、マオやリッドにキール、ヴェイグやクレスにスタン、カイルにカイウス、シングにセネルやジェイ、その他にも仕事があるからと先に上がって行ってしまった者まで、バンエルティア号に乗船している中のほぼ全員が浴場に集結していた。
そして全員見る先は同じである。


「こんだけ人数居ると、逆に燃えるよなー」


ゼロスの燃える、と言うのは勿論ユーリを落とす事が、だ。


「そりゃそうたけど、今はユーリとお風呂入れてるって事だけで充分かな」


ルークのその言葉にその場所に居た者は皆同意するように頷いた。


「色気ありすぎて困るっちゃ困ってるけどな」


ガイの言葉道理に、ユーリの裸体が妙に色っぽく下半身的な意味で困るのは確かだった。
着替える時にすぐ隣だったゼロスはよく耐えたと思う。


「でも本当ユーリって白いし細いし、なんであんなに強いんだ?」

「アイツはちゃんと毎日の訓練を怠らない。そして日替わりで毎日の様にアドリビトムの連中と手合わせしてるからな、強いのは当たり前だろう」


ロイドの疑問にリオンが答えた。
確かに、ユーリは毎日の様に皆から手合わせの申し出を承けている。
1日に何人もの人と手合わせする時もあるし、面倒臭いから全員で来い、なんて言うこともある。
勿論、ユーリには勝てなかったが。
あのリオンとアスベルの二人を同時に相手をし、勝つ程なのだ。
ユーリはかなり強い。


「確かにな、よく体力もつよなー。俺もユーリくらい強くなりてーな!」


スパーダの意見には皆同感した。
好きな人は自分の手で守りたい、守れるくらい強くなりたい。
でも、今の自分達はユーリより強くない。
ユーリを守る為にユーリを倒したい、それが全員の目標である。


「でも、今は」

「目の前の幸せを噛み締めようぜってな」


ルークとゼロスの言葉にユーリの方を向く男達。
相変わらずユーリは楽しそうにカロルの背中を流している。
その笑顔を見ただけで、全員の心は幸せだった。














(そういやジェイドが居ないなんて珍しいな)

(そういや、旦那もユーリ狙ってるんならこのチャンス逃す訳ないよな)

(あー、ジェイドなら"裸の付き合いをするのはちゃんとそう言う行為の時にしますよ"って言ってたぜ?よくわかんなかったけど)

(((……)))





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