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短品
一目惚れ


「何なんだよ!!捜し始めた犯人が自首してきただぁ!?」

「ルーク落ち着けよ、初仕事だったからやるせない気持ちは解るが…」

「わぁってるよ!!俺は子供じゃねぇ!!」

((十分子供だな(ね)))


ガイとティアは同時にため息をついた。
先程までルークは、この船に来ての初仕事、ケーキ泥棒を捕まえる仕事に張り切って臨んでいたのだから、犯人が自首して来た事にお子様なルークが怒るのも無理もない。


「ふんっ、縄でグルグル巻きにされてるケーキ泥棒の面でも拝んで文句の一つでも言ってやるっ!!食堂に居るんだろ、早く行こうぜ!!」

((だからそこが子供だって))


またため息をつく二人だった。












――食堂前


食堂に着いた三人は、食堂の中がえらく騒がしい事に気がついた。


「ん?えらく騒がしいな」

「どうせケーキ泥棒だろ、行くぞ」


ルークが真っ先に食堂に入って行った。
すると。


「な、何だこれ…」

「どうしたの、ルーク…あら?」

「何だ何だぁ?ん?こりゃ一体……」


そこには楽しそうに沢山のスイーツを食べる仲間達がいた。


「あ、三人共来たのね!!ほらほら座って!!」


三人に気が付いたファラは三人をテーブルに着かせてお茶を配る。


「ね、ねぇ…これは一体……」


と、混乱しているティアはファラに質問しようとしたが。


「あぁ、あなた達はさっき居なかったもんね、待ってて、説明は本人にさせるから」


そう意味の解らない事を言ってファラはキッチンに入って言った。


「えっと……これは……」

「ははは…置いてけぼりみたいだな、俺達…」


今だ混乱するティアと苦笑するガイだったがルークは今だ不機嫌な顔だった。


「何だよこれ、俺はケーキ泥棒の顔を見にここまで……」


と言った瞬間、突然ルークの前にパフェが現れた。


「ほい、イチゴパフェ一丁」

「なっ!!」


パフェを置いた手を辿ってルークは後ろを振り向いた。
そこには長い黒髪に綺麗なブラックアイ、長い睫毛に全身を包む黒の服にスラッとした体つき、ルークは一瞬にしてその人物から目が離せなくなった。


「ん?どうした?」

「え?え!?い、いや……//」


ユーリに話かけられて我に返ったルークは顔を赤くして俯いたてしまった。


「へぇ、この船には君みたいな美人が乗ってるのか」


ガイがそう言うとユーリは眉を寄せる。
それを見たティアは不機嫌にさせてしまったと思い、ガイを制止させる。


「ガイは黙ってて頂戴、えっと、私達ここにケーキ泥棒がいるって聞いたからここに来たのだけれど、これは一体…」


ティアは周りを見ながらユーリに言うと、ユーリは"あぁ"と納得したように言った。


「ケーキ泥棒だろ?それ俺のことだな」

「「「……は?」」」


三人は声を揃えて驚いてしまった。


「俺はユーリ・ローウェル、噂のケーキ泥棒だ、まぁ船長さんと話してこの船に身を預けようと思ってるんけどな」


ユーリはニコリと、まるで何もやっていないかの様に笑った。


(か、かわいいかも…//)

「っ!!///」


ティアは顔付きはクールだが内心の顔付きはゆるゆるである。
一方ルークはユーリの笑顔に顔を真っ赤にしてしまった。


(ん?ルークの奴、もしかして……)


それを見たガイはある考えにたどり着くと心の中で顔をニヤニヤさせた。
そしてまたユーリを見る。


「それにしてもケーキ泥棒が女性だなんてな」


そうガイが言うと、ユーリはため息をつく。


「あのな、言っとくが俺は、お・と・こ・だ!!」

「「「はぁ!!??」」」


今度は先程よりも驚いた三人。


「ま、大概の奴は間違うんだよ、だから気にしてねぇ」


そう言うと、ユーリはまずガイに手を差し出した。


「まだあんたらの名前、聞いてないからな」


そうユーリが言うとガイは納得したようにユーリの手を握り返した。


「俺はガイ・セシル、よろしくな」


次にユーリはティアに手を差し出した。
ティアはためらいなく握り返した。


「私はティア・グランツよ、よろしく」

「よろしく」


そして最後にずっとぼうっと見ていたルークに手を出した。


「え」

「ほら」


ユーリはもう一度、ほれ、と差し出す。


「あ、あぁ」


ルークは握っていいかわからなくて、でも握った。
するとユーリは強く握り返してくれた。
それにさらに顔を赤くしながらルークは名前を名乗った。


「ル、ルーク・フォン・ファブレ……です」

「もっと活発な奴だと思ってたんだが、案外大人しいんだな」


驚いたようにユーリは言った。
その言葉にルークは慌てて否定する。


「お、俺は大人しくなんかないぞ!?」


そう言うとユーリはニッと笑い。


「やっぱりな、お前はそっちがいいよ、じゃ、他の奴らが飢えてるんでね、デザート作らなきゃならないんだ、またな」


そう言ってユーリはキッチンに戻って行った。


「………」


しばらくユーリが居なくなった方をぼうっと見ていたルークは突然ガイに肩をとんとん、とされた、何かと振り向いたルークはガイのニヤニヤした顔が目に入った。


「ルーク、惚れたのか?」


そう言われた瞬間ルークの顔はこれいじょう無い程に真っ赤になった。


「な、な、な……!?///」


その様子を見たガイ、そしてティアは同時に笑い出してしまった。


「ははは、わかりやすいなお前、まぁ」


ガイはティアと目を合わせて。


「「がんばれ(って)」」

「ひ、人事だと思ってるだろ!!!!///」


ルークは初めて恋をして、しかも一目惚れだった。






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あきゅろす。
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