[携帯モード] [URL送信]

記念品(小説)
43000HIT リク

43000HITリクエスト
ユーリin青エク








「っ、…はっ!!」


ケーブモック大森林、そこを一人の青年が走り抜ける。
襲い掛かる魔物を切り捨てながら、出口に向かうのはユーリ・ローウェル。
ギルド『凛々の明星』のメンバーだ。
ギルドに所属しているにも関わらず、彼は今一人で依頼を行っている。
今回の依頼内容が『ケーブモックに落としてしまったネックレスを見つけてきて欲しい』と言う簡単な依頼だったため、一人で十分だと判断し、ユーリは単身でケーブモックに来ていた。
だが、ユーリは仲間を連れて来なかった事を今になって後悔していた。

星蝕みを倒した後、この世界には魔導器が無くなった。
それゆえに街には結界魔導器も無ければ、戦う時に身につける武醒魔導器もない。
しかも最近の魔物は、始祖の隷長が殆どいなくなってしまったからか、各地域で凶暴化する時期がある。
今、ケーブモックの魔物はその凶暴化する時期だったらしく、ユーリは何とか切り抜けている状態だった。


(悪い時期に当たっちまったな、しかも今日のケーブモックは…ヤバい感じがするな)


今日のケーブモックはおかしかった。
まだ昼だと言うのに森全体が薄暗く、なんだか寒気がするのだ。
まるで嫌な気が集まっているようだ。
その時だった。


「伏せろ!!」

「っ!!」


考え事をしていたとき、ユーリに向かって放たれた突然の声。
瞬時に反応したユーリはすぐに伏せる。
するとさっきまで頭があった場所には魔物が襲い掛かっていた。
そしてその魔物にはどこから飛んできたのか、剣が刺さり魔物は絶命した。


「この剣は…デインノモス!?」

「油断はするな、まだいるぞ」


森の奥から現れたのは白く長い髪に赤を基調とした服を身につけるデュークの姿があった。
デュークは、ユーリが慌てて伏せた時の拍子に落としてしまった剣を拾う。
ユーリもデュークが投げたであろうデインノモスを魔物から引き抜いた。


「悪い助かった」

「礼はいい、早くこの森から去れ」


その言葉に何か引っ掛かったユーリはデュークに目を向けた。


「…まさか、ケーブモックに何か起きてんのか?」


そうユーリが言うと、デュークは一瞬ユーリを見ると、再び周りを取り囲む魔物を見る。


「…今、この森の様子がおかしい。この時期はまだ、ケーブモックの魔物は凶暴化する時期のはずはない。だからエアルクレーネを見てきたが変わった所は無かった」


デュークがわざわざこんな所に来た理由。
それは、いち早くケーブモックの異変に気付いたからだった。
デュークはこの森に悪い気が集まっているのに気が付き、調べに来ていたのだ。
テルカ・リュミレースを愛しているからこそなのか。
今、変化し続けるこの世界を見守ると決めたデュークであっても、異変を感じて気にならないはずがない。


「何か起きてるんだったら、早めにリタとフレンに知らせねぇと……」


その時。


「っ!!」


激しい寒気がユーリを襲った。


「どうした?」


ユーリの変化に気付いたデュークは声をかけるが、ユーリは何故か声が出ない、さらには体が凍った様に動かなくなっていた。


(くそっ、なんだよ…これはっ!!)


必死に動こうと、声を出そうとするが体が言うことを聞かない。
デュークも何も反応しないユーリが心配になり、ユーリに手を伸ばす。


「どうしたのかと聞いて…っ!!」


もう少しでユーリに触れそうになった時だった。
突如、黒い靄のようが現れたと思えばデュークの視界は何も見えなくなった。


(黒い霧!?これは自然のものでは起きえない現象だっ…)


靄に包まれた途端に感じた寒気。
デュークは危険だと感じ、ユーリがいた場所に手を伸ばす。
早くこの霧の中から出る必要がある。
しかし。


「…ユーリ?」


先程までユーリが立っていた場所に手を伸ばしても、何もない様に触れるものがない。
それからすぐ、黒い靄は不思議な程綺麗に消えた。
そして、目の前に居るはずだったユーリの姿も、ユーリが持っていたデインノモスと共に消えていた。


















とうとうミつけタ。



ワがヨリドコロとなりし器ヨ。



ワレを受けイレロ。


















「…っ」

「お、目が覚めたか?」


突然意識がブラックアウトしたユーリ。
意識が浮上する。
目の前がぼんやりする、誰かの声がする。
意識がはっきりしてきたユーリは、自分がベッドに寝かされているのに気が付いた。
そして自分を覗き込んでくる少し幼さの残る黒髪の少年。


「っ…アンタ、誰だ?」


まだ力の入らない体、やっと搾り出せた声ででそう言った。


「俺は奥村燐だ!!燐でいいからな!!あんた教会の前で倒れてたんだぞ?」


倒れていた。
そう聞いて思い出す。
意識を無くす前、最後に見たのはこちらに手を伸ばすデュークの姿。
彼はどうしたのだろう。


「所々に傷があるから、今雪男が……弟が救急箱持ってきてる。腹減ってるだろ?お粥作ってくっから待ってろ!」


騒がしく部屋を出ていく少年。
名前はリンと言ったか。
どうやらいいヤツに拾われたらしい。
段々と体を動かせるようになってきたユーリは上半身を起き上がらせた。


「普通の部屋だな、ここはどこだ?」


窓にはカーテンがしてあり、外が確認できない。
外からはダングレストの様な活気に溢れたような騒がしさがない、多分ここはダングレストではないだろう。
外を確認しようとベッドから降りようとした時だった。


「あ!!動いちゃダメですよ!!傷の手当をしないといけないんですから!!」


突然扉が空いたと思えば、さっきの燐とは違う、黒髪に眼鏡、顔にはいくつかのホクロが目立つ少年が入って来た。
少年はズカズカとユーリに近付くと隣に座って救急箱を開いた。


「取り合えず見知らぬ人に治療されるのもあまり気分もよくないと思いますから自己紹介をさせてもらいます。僕は奥村雪男です。この教会で暮らしています」

「俺はユーリ・ローウェルだ、ユーリでいい」


自己紹介をしてくれたが少し引っ掛かる事があった。


「…ん?オクムラ…?さっきの、えとリン?ってヤツもオクムラって言ってたな…」

「燐は僕の双子の兄ですよ」

「はぁ!?双子!?」


さっきの燐と呼ばれた少年を思い出しながら目の前で腕の傷の手当をしてくれている雪男をまじまじと見る。


「……似てねぇな」

「よく言われます。さ、腹部の傷の手当をするので上着を脱いでください」


テキパキと次の準備をしだす雪男。
ここまで親切にしてもらっていてはこれ以上はいい、なんて言って断れない。
ユーリは大人しく上着を脱いだ。
よくみれば服は魔物と争っている内にボロボロになったらしい、修繕のしようがない。
捨てるか、と考えるながら服を床に投げた。


「見たことない服装で…名前もそうですが外国から来た方なんですか?」

「ガイコク?」


ユーリは外国の意味がわからずに首を傾げる。
雪男もそんなユーリに対して首を傾げる。


「もしかして日本生まれのハーフなんですか?」

「ニホン?なんだそりゃ。俺はザーフィアスが故郷なんだけど……」

「え?」

「は?」


二人に沈黙が流れる。
その時。


「おー!!起きたって聞いて来たんだが…ありゃ?どうしたお前ら?」


バーン!!と慌ただしく部屋に入って来たのは白髪に眼鏡、上から下まで黒の服に身を包んだ親父だった。


「あ、こちらは藤本獅郎。で、こちらがユーリ・ローウェルさん。それで神父さん、実は……」

(とうさん?)


ユーリは雪男が"とうさん"と言った人物と、名前が違う事に気が付いた。
燐と雪男は奥村だがこの獅郎と呼ばれた男は藤本。
ちょっと考えればどういった関係かわかる。
一方、雪男がユーリと話が噛み合わないと獅郎に言おうとした時だった。
急に獅郎の目が変わった。


「ちょっと失礼」


そう言って獅郎はベッドに座っているユーリの側に膝をついた。
そしてユーリから見て右脇腹のある場所にそっと触れる。


「……」

「神父さん?」


呼び掛ける雪男。
獅郎はそっとユーリから手を離すと、ユーリの顔を見た。


「何だよ改まって、何か気付いたんなら言ってくれ」


ユーリの言葉に、獅郎は口を開いた。


「ユーリ、だよな?君は悪魔に憑りつかれている。いや、呪われていると言った方が正しいかもしれない」

「それ、本当なの神父さん!?」

「残念ながらな。しかもかなり強い悪魔のようだ、これは俺でも祓いきれない…」

「……」


ユーリは二人の話を黙って聞いていた。


「これを見てみろ」


獅郎は先程見ていたユーリの脇腹を指差した。


「小さなアザになっているだろう、これは悪魔が人に憑依した時に着く物だ。しかもこのやり方は上級の悪魔にしかできない」


雪男は確認する様にユーリの脇腹を見た。


「これが…」

「しかし、この呪いをかけられたら大概はすぐに体を乗っ取られてしまうんだが…お前さん、かなり強い教職者だな」


そう問い掛けられたユーリだが、ユーリ自身は生憎と信仰している神様はいない。


「俺、神様信じないんで。てか教職者でもねぇし」


そう答えたユーリに驚いた表情の二人。
ユーリはどこに驚く所があるのかわからなかった。


「…って事は、相当な修羅場をくぐり抜けて来たって事か」

「まぁそれなりに生きては来たけどな」


獅郎は何か考える仕種をし、ユーリに向き合った。


「その呪いはその模様が段々と広がって行き、模様が全身に回ると完全に悪魔に体を乗っ取られてしまう。ユーリの場合は侵食は遅いが、遅いと言う事はユーリの体と悪魔の融合率が高くなるって事にも繋がる。つまり乗っ取られれば最後、その体は悪魔のものとしてこの物質界に存在できる様になる。そして短時間で体を乗っ取られると拒絶反応で体が壊れる。どちらにしろユーリの体は危ないのに変わりは無いわけだ」


"そこでだ"獅郎はニッと笑った。


「ユーリお前、祓魔師(エクソシスト)にならないか?」


その言葉に、ユーリは一時キョトンとしていたが、次の瞬間には"ふーん"と言ってニヤリと笑った。


「面白そうだな。その話、乗るぜ?」


そんなユーリに、獅郎は"いい覚悟だ!!"と言ってユーリの頭を力いっぱい叩いた。

こうしてユーリの祓魔師としての日々が始まった。







―――――

と言う事で43000HITありがとうございました!!
ユーリin青エクでしたが…
書いてて楽しかったです^^
こんな素敵リクをいただいてありがとうございました!!
ただ、心残りなのはあまり燐と絡ませられなかった事ですかね……

まぁ、皆さん読んでいて気付いた方もいるかもしれませんが、実は続きは考えてあります。
皆様のお声があれば長編として書いて行く事も考えています。
あと、リクしてくださった方の了承もとってからですが……
なので今回は1話目みたいな書き方にしました。


まぁとりあえず、ここまで読んでいただいてありがとうございました!!
リクしてくださった方のみお持ち帰りおけです!!


ではではリクエストありがとうございました!!

[前へ]

9/9ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!