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記念品(小説)
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夕日様リクエスト
TOW2
ユーリ争奪戦











「サラマンダー退治か…」

「なぁ、一緒に行こうぜ?」

「一緒に来い、貴様に拒否権などない」

「すまない、着いてきてくれないか?」


自室で剣の手入れをしていたユーリは突然の来訪者に少し驚いたが、バッと見せられた依頼の紙に目を通すと、呟くように言葉を発した。
そして目の前にいるルーク、リオン、ガイによって激しくクエストに勧誘される事になっているユーリは三人を見渡した。


「クエストに行くのはいいが、回復が居ないのはちょっと厳しくないか?」


サラマンダー退治はいいが、場所は火山の4層目だ。
ザコだが強いのは確かだった。
しかもリオンは魔法を使えるが、基本的にこの4人は接近型。
一番ダメージを受けやすいポジションだ。
回復役が1人は欲しい所だった。


「大丈夫だって!!出来るだけダメージを受けなきゃいいんだし」

「貴様に心配される程僕は弱くはない」

「一応、アイテムは多めに持っていくから多分大丈夫だと思うぞ」


揃いも揃って強引なお誘いをしてくる三人にユーリは少し考えて。


「わかったわかった、行ってやる。その代わり、準備はきっちりしろよ?」


そのユーリの返事に、ルークは笑顔で"やった!!"と喜び、リオンは"フッ"と鼻で笑い、ガイは"ありがとう、助かるよ"とお礼を言われた。


「リオン、負けないからな!!」

「ふん、貴様が勝つはずがないだろう。勝つのは僕だ」


ルーク、リオンの間に火花が散る。
その様子を見ていたユーリはこっそりガイに聞いた。


「ガイ。ルークとリオン、ケンカでもしたのか?」

「ん〜、まぁそんな所だ」


"ふーん"と言ってまた二人に目を向けるユーリに、ガイは本当の事が言えなかった。


(どっちがユーリを守りぬいて、かっこいい所を見せ付けるかの勝負だなんて…)


ガイは苦笑しつつ、二人の想い人に目を向けた。
一方、勝手に巻き込まれたユーリと言えば。


(ケンカしてる割には一緒にクエスト行くんだな……喧嘩するほど仲がいいってやつか)


なんて事を考えていた。














クエスト開始50分後
火山4層目




「はぁっ、はぁ…」

「っ…、は…っ」

「二人ともへばんなよ!!殺られるぜ!!」

「ユーリ、体力ありすぎだろ…」


荒い息で膝をついているのはルークとリオン。
その二人を庇う様に戦うのは、二人がかっこいい所を見せたいと思っている人物、ユーリだった。
一方、ガイは自分の身を守るので精一杯のようだ。


「それにしても、敵の数も多いし…前より強くなってないか?」

「そうだな、何か嫌な感じだ」


そんな会話をするガイとユーリ。
後にいたルークとリオンは地面に剣を突き刺し、何とか立ち上がる。


「キーッ」

「っ…!!」


体力の無くなったルークとリオン。
重くなった剣を敵に向けようとしたとき、後からコウモリのモンスターが襲い掛かってきた。
反応しきれない二人は目をつぶって痛みがくるのを待つしかできなかった。


「蒼波!!」


目をつぶっているにも関わらず感じる光。
モンスターの悲痛な悲鳴が聞こえ、目を開けるとそこには息絶えたモンスターの死骸があった。


「よそ見すんなよ、いつでも助けれる訳じゃっ…ねぇからな!!」


飛び掛かってきたウルフを切り払いながら言うユーリの背中はとてもかっこよく見えた。


((って、守る相手に守られてるし、これじゃ逆に格好悪いっ!!))


二人は意気消沈したように崩れ落ちた。
その様子を見たガイはユーリに声をかけた。


「ユーリ、もう十分だしアイテムも無くなってきた。二人も限界みたいだから一旦帰ろう」

「まだ戦い足りねぇが…しゃあないな、退くぞ二人とも!!」


そう言ってユーリは敵の攻撃を受け流しながら後退していく。
ガイも同じ様に後退する。
しかし。


「ルーク!!リオン!!二人とも何してるんだ!?退くって聞こえなかったのか!?」


ガイが呼び掛けたのはルークとリオン。
なんと二人は敵に向かって剣を向けていた。


「ま、まだまだやれるっ…!!」

「僕は、まだ負けていない!!」


体力は限界の二人。
誰が見ても戦える状態ではないのは明らかだった。


「意地を張るなって!!今は退いた方がいい!!」


ガイが二人に声をかけるが二人はそれを綺麗に無視し、魔物に立ち向かおうとする。
二人は、今の状況がどんなに危ないのか理解できていない。
お互いに負けたくない、格好悪い所は見せられないと意地になっているのだ。
冷静さを失っているのと一緒で状況判断ができていない。


「あぁ、もう!!」

ガイは言うことを聞かない二人にイライラしながら二人の元へ行こうとした時。


「ガイ、援護頼む」

「ユーリ?」


ガイの目の前を横切るユーリ。
布の様になびく綺麗な髪に見とれ、ガイの足はいつの間にか止まっていた。


「おい」


そう聞こえ、同時に振り返る二人の頭に激しい痛みがはしった。


「ぃ、ってえぇ!!」

「っ……!!!!」


痛みで目に涙を溜める二人は頭の痛みを生み出した、いや殴った人物、ユーリを見上げた。


「ゆ、ユーリなにす……」

「お前ら死にたいのか」


反論しようとしたルーク、だがユーリの言葉とその鋭い目に言葉を失った。
それはリオンも同様で、ユーリの冷たい視線に痛みなど感じなくなっていた。
ただ、冷や汗が背中を流れるのがわかった。


「喧嘩してお互い譲れないものがあんのはわかるが、今やる事じゃねぇだろ。お前らの単独行動で周りが迷惑すんだよ、それがわかんねぇのか」


ガイが援護してくれているおかげでユーリは二人に説教ができているが、ガイもそろそろ限界だろう。


「お前らが死んだら、誰かが悲しむって事も忘れんな」

「うわっ」

「なっ!!」


ユーリは突然二人の手首を掴むと走り出した。
掴まれた二人は、突然の事に驚きながらも何とかこけずに足を動かした。


「ガイ行くぞ!!」

「わかった」


ガイに合図をし、その場から離脱する四人。
後に迫る魔物をなんとか振りきって走る。


((俺(僕)が死んでしまったら、ユーリは悲しんで涙を流すのだろうか……))


二人は握り締められる手首を見ながら、ふとそう思った。














「ここまでくれば大丈夫だろ。大丈夫か二人とも」


1層目まで走ってきた四人は荒い息遣いで立ち止まった。
あと少しで出口、安心したようにユーリは大きく息を吐いた。


「ユーリ…」

「ん?」


突然名前を呼ばれ、そちらを振り向くとシュンとしたルークとリオンの姿。


「ごめん、勝手に行動して…」

「僕とした事が冷静さを失っていたようだ。……すまなかった」


反省したようにユーリに謝る二人に、ユーリはにっこり笑った。


「次は気をつけろよ?勝負より、人の命の方が大切なんだからな」


二人の頭を撫でるユーリ。
ルークは少し照れた様に笑い、リオンは"子供扱いするな"とは言うが、ユーリの手を振りほどこうとはしなかった。
頬を見る限り、照れているのだろう。
その時だった。


「ユーリっ!!」

「!!」


突然、ユーリの後からバットが攻撃をしかけてきた。
反応が遅れたユーリはガイの声で後を振り向くが、剣を抜く前に攻撃されるのは明かだった。
すぐさまユーリはルークとリオンを庇う形でガードをし、やって来る痛みを待った。
だが。


「弧月閃!!」


目の前に金髪が見えたと思いきや、一瞬にしてバットを切り裂いた。
力尽きて地面に倒れる魔物。
魔物を斬ったガイは剣を鞘に戻し、ユーリ達を振り向いた。


「ユーリ、怪我はないか?」

「あ、ああ。サンキュー、ガイ」


"どういたしまして"と言って笑うガイ。


「ユーリが無事でよかった」


そう言ってガイは笑った。
それはそこら辺の女性なら卒倒してもおかしくないような綺麗な笑顔で。


「よくそんな恥ずかしい事をサラッと言えるな……まぁでも、助けてくれたのは事実だ。助かったよ」


そう言ってガイの肩をポンと叩いて歩き出すユーリは"早く出ようぜ"と言ってスタスタと行ってしまう。


「ちょっと待て、今日一番格好よかったのって……」

「ガイ、じゃないか…?」


ガイを見た二人に気付いたよいに、ガイも二人を見た。


「悪いな、実は俺も狙ってるんだよ」


そう言ってウインクをしたガイはそのままユーリの後を追う様に歩きだした。


「まさか、ガイが……」

「く、油断したっ…!!」


落胆するように膝をつく二人。
遠くでユーリの声がする、自分達を呼んでいるのがわかる。
そしてその隣には当然の様に居座るガイの姿。


「「……絶対」」


二人は立ち上がり。


「「絶対、ガイには負けない!!」」


そう心に誓い、二人はユーリがいる所まで全力で走った。









いつかユーリの隣にいるのは自分なんだ!!






――――――

夕日様リクエスト、『ルーク・ガイ・リオンでユーリ争奪戦』でした!!
すごく遅くなって申し訳ありません!!
しかも、ずっとためていたにも関わらずこんなクオリティー…
申し訳なさすぎて……
へ、返品は受付けてますので!!
リクエストありがとうございました!!

夕日様以外お持ち帰り禁止です!!

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あきゅろす。
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