記念品(小説)
拍手小説(TOV映画1)
『ヴェスペリア-the first strike-』発売記念小説。
ユーリ受
「ラピード飯だぞー、ランバートもな」
「わんっ」
「ガウ」
ユーリは山盛りのドックフードが載った皿を二匹の犬の前に置いた。
ラピードは置かれた途端に待ってましたと言わんばかりにご飯をガツガツ食べ出した。
一方、ラピードの父親ランバートは行儀よく食べていて、たまにラピードの皿からこぼれ落ちるドックフードを綺麗に舐めとっている。
「ラピードよく食えよ?お前もランバートみたいになるんだからな」
そうユーリは言うがラピードはご飯に夢中で聞いちゃいない。
苦笑するユーリにランバートはすまなそうに"クゥーン"と鳴いた。
「いいって、それより食べ終ったら皿はいつもの所によろしくな」
「ワンッ」
ランバートの元気な声を聞くと、ユーリはニッコリ笑って犬小屋を出た。
「あ、ユーリいた!!」
突然かけられた声にそちらをふり向くと、そこには騎士団の宿舎の扉から怒った様子でこちらを見ているシャスティルの姿が見えた。
「やっべ!!」
まずいと判断したユーリが逃げようと踵をかえした時、目の前にはいつの間に来たのかヒスカが立っていた。
「ゲッ!!ヒスカっ」
「逃がさないわよ?」
一瞬にして腕を捕まれたユーリは、双子の表情(口は笑っているけど目は笑っていない)を見て逃げられないと判断し、降参するように両手を挙げた。
「ギルドの連中には手を出すなって何度言えばわかるの!?」
ヒスカのそんな叫び声を聞き流しながらユーリはソファーの背もたれに寄り掛かった。
「だってあいつらが半端な仕事しかしねぇんだ、拳の一発や二発いいじゃねえか」
ユーリには全く反省の色は無く、寧ろ何で怒られなきゃいけないのか不服に思っている表情をしていた。
「あんたね…!!」
「ユーリ」
そんなユーリを見兼ねてヒスカがまた怒声を浴びせようとした時。
シャスティルが横から入って来てヒスカの声を遮った。
「シャスティルちょっと…!!」
「ユーリ、この前に乱闘した時に約束した事覚えてる?」
「約束?」
首を傾げてそう言うユーリは可愛かったが、ここで甘やかしては負けだ、とシャスティルとヒスカはいろんな物を耐えた。
「"次に乱闘したら強制罰ゲーム"」
「……何かその約束したな」
思い出した様に嫌そうな顔をするユーリ。
シャスティルは"思い出してくれてよかったわ"と怪しく微笑んだ。
その笑みを見た途端、ユーリは悪寒を感じた。
昼食in食堂
「隊長、お隣りいいですか?」
「おぉフレンか、座れや」
食事が載ったトレイを持って、フレンは空いているナイレンの隣に座った。
ナイレンの正面にはユルギスが座っていた。
他の団員達もそれぞれで食事を取っている。
「フレン、ユーリはどうした?」
「あぁ、それがですね…」
フレンは苦笑してスプーンを握った。
「昨日またギルドと乱闘したらしくて、今は先輩二人に説教されてるはずです」
そうフレンが言うと、ナイレンは"あぁ"と言って"そう言えばそんな報告あったな"と遠い目をした。
「ユーリは問題児ですからね」
ユルギスも苦笑しながら口にスープを運んだ。
「やった!!間に合ったわ!!」
「ご飯食べれないかと思ったわ」
そんな会話をしながら食堂に入って来たのはフェドロック隊唯一の女性騎士の双子、ヒスカとシャスティルだった。
「何だお前ら、ユーリの説教じゃ無かったのか?」
いち早く二人に気付いたナイレンはそう声をかけた。
すると二人は笑顔で声を発した。
「説教じゃユーリは反省しないから説教じゃ無くて罰ゲームにしたんです」
「楽しかったわ」
シャスティルの言葉に"楽しかった"と言うヒスカ。
ユーリは一体どんな恐ろしい罰ゲームを受けたのかとその場の全員、身を震わせた。
「ほらユーリ、入りなさいよ」
ヒスカが食堂の外に出て、そこに居るのであろうユーリの腕を引っ張っている。
「は、離せ!!絶対嫌だ!!」
「約束破ったアンタが悪いのよ、我慢しなさい!!」
「ほら、ユーリ!!」
「うわっ」
シャスティルも手伝って、嫌がるユーリを無理矢理食堂に連れ込んだ。
「ユ、ユーリ!?」
しかし、そこに居たのはいつものユーリでは無く……。
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