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私立誠青学園高等部
漸と蒼穹B

「あんた誠青だろ?なかなかキレーな顔してんじゃねーか」

「やっぱ私立はちげーな、なぁ、ちょっと俺らと遊んでけよ」




蒼穹は今、常南高校の生徒に絡まれている。




所属しているバレーボール部が久々に休みとなったので、たまには寄り道をしようと街へ来たのだが、




後ろからつけられている気配があった。


そして気づいたらこの状況になっていた。



どうしたものか。



「…何が目的?」


少し強めの態度をとってみる。



「ははっ、目的なんてねーよ。ただアンタと遊びたいだけ」

「あんま警戒しないでくれよ。周りが変な目で見ちまうだろ?」



二人の男のうち一人はオールバック、もう一人は盛った金髪で耳に沢山のピアスがつけられている。



相手は不良校として有名なあの常南だ。誰が警戒せずにいられるものか。



「悪いけどあんた達と遊ぶ暇は無い」


動揺すればよけいに付け入られるだろう。
あえて凛とした態度をとる。





しかしその予想ははずれた。



オールバックの男のほうに突然腕を捕まれる。

「っ!?」

「へぇー」



振りほどけない。



「離っ…」


「じゃあ、こっちにも考えがある」



腕を思い切り引っ張られ、建物の陰に連れ込まれる。

壁に押し付けられ、顔が至近距離に迫る。


「こっちで別のアソビしよーぜ」


さっきの垂れ下がった目付きとは違う。


二人の視線は鋭く、
不敵な笑みがこぼれていた。



一瞬、背筋が凍る。




別のアソビ。




まさか…




「やめっ…、離せ…っ!!」

「アンタ綺麗だからよ、少しは優しくしてやってもいいぜ」


両手を相手の左手で捕まれ、頭上に押し付けられる。

右手は蒼穹の少しゆるみ気味のネクタイをスルリとはずしていた。


そしてオールバックの男の顔が、蒼穹の白い首筋に埋められる。


「っ……!」





だれか……





「いっ…いだだだだだ!!」


突然、金髪の男が悲鳴を上げる。

「!?」

「なっ、何だ!?」


背後には長身の男が立っている。


「よぉ」

ふと上げられた顔は暗がりも相まってとても恐ろしいものだった。


常南の二人はその形相に震え上がっていた。




蒼穹はこの男を知っている。



海道漸。



同じクラスの、賑やかな三人組の一人だ。



「そいつ、俺の知り合いなんだけどよ、何か用か」


金髪の男は左腕をひねられ悲鳴を上げている。


「ぁ…い、いや…何も……」

そう言うと、オールバックの男はパッと蒼穹から離れ、金髪の男を連れてそそくさ逃げていった。



その場には蒼穹と漸が残される。




「ちょうど通りかかったんでな、ついでだ」



「そうか…ありがとう」


ふっと蒼穹が微笑む。


漸は照れくささを隠すために、うつむいて落ちていたネクタイを拾って手渡した。




そのとき、蒼穹はふと思い出した。



そういえば明日…



「じゃ、俺行くから」


「あ…うん」



聞きたいことを聞く前に、漸は街の方へ行ってしまった。




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あきゅろす。
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