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槻木くんは猫離れができない
四ノ四


宿題は全部で3問。

授業中は見よう見まねで何とか解けることもある。
だが、家に帰るとさっぱりわけがわからない。

「確か授業で、この公式を使ってたよな…うーん」

途中式の時点でありえない計算をしていることは、分自でも解るのだが。

頭を抱えていると、オリヅルランの中から2がすいっと出てきた。

「お前とは仲良くなれたけど、こっちはダメみたいだよ」

2は宿題の上にと止まった後、机の上をふよふよと漂った。
そして、ふいに数学の教科書の上にとまり、ぴょんぴょん跳ね始めた。

「教科書、読みたいの?」

僕は教科書を開いてみる。
2は開いたページの上に浮かんで止まった。

数秒が経った。
気のせいか教科書が小刻みに揺れているように見える。
だが、揺れはだんだん確かな振動となり、僕の指先にも伝わってきた。

「え?なんだこれ?」

ページが仄かに発光しだし、次の瞬間、強く光ったと同時に

ぽんぽんぽんっぽんぽんっ!

ページから何かが飛び出してきた。

「うわっ!」

僕は眩しくて眼を瞑り、腕で顔を覆った。

自宅でまで超常現象が!?

光が治まったので、恐る恐る眼を開いてみた。

机の上に2が浮かんでいて、その周りに違う数字が9つ漂っている。
よく見ると、0から9まで揃っていた。

「ふ、増えた!」

数字たちはじゃれあうかの様にぴゅんぴゅん旋回している。
しばらくして、僕の宿題の上に集まりだした。

ぽかんとしている僕の指先に、数字達が協力して消しゴムを運んできた。

「消して書き直せってこと?」

僕は無茶苦茶な途中式を全て消した。

教科書のページがパラパラめくられ、開いたページに数字達が集まる。
見ると、さっきとは違う公式の上で数字達が跳ねていた。

「えっ、この公式を使うのか?」

よくわからないが、どうせわからないのだから同じか。

僕はおぼつかない手つきで問題を解き始めた。



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あきゅろす。
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