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槻木くんは猫離れができない
三ノ四


突き当たりを曲がると、なんとそこは竹林だった。

商店街の周りはの雑居ビルや住宅に囲まれている。
なぜこんな場所に竹林が?

不思議に思ったが、薄暗い商店街の路地とは打って変って、竹林の中は意外に明るく、心が落ち着く。

竹林の中に一軒の小さな店らしきものがあった。
店は古い日本家屋で、看板には"壱弐参堂"と書かれている。

ここ、だ。

壱弐参堂の入口にはえんじ色の暖簾がかかっていて、引き戸の擦りガラスから暖かい光が漏れている。

僕は竹の間を通り抜けていった。

…なんかさっきから誰かに見られているような気がするな。

そう思い辺りを見渡してみたが、竹ばかりで誰もいなかった。

気のせいか。

しかし店の前まで来て引き戸に手を触れた瞬間、後ろから誰かに制服の背中をまくられた。
驚いて後ろを振り返ったがやはり誰もいない。

不気味なのでさっさと店に入ろうと思い、引き戸をカラカラと開けた。



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