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槻木くんは猫離れができない
三ノ二


槻木君はあのまま家に帰るのかな。
そして飼い猫をつれ、どこかの公園で秋空の下、のんびり過ごすのだろうか。
だとしたら羨ましいこと山の如し。
あ、彼は猫と一緒のときどんな顔をするんだろう。

………。

いけない、油断すると彼のことばかり考えてしまう。



─次は竹取町、竹取町。降り口は右側です─…


竹取町駅で降車した僕は竹取商店街の最深部、6丁目をめざし歩いた。

ここには昔、小学校低学年の頃に2、3度来たことがある。
確か何丁目かに駄菓子屋があったはずだ。
母さんが買い物をしている間その駄菓子屋へ行き、イチゴ味の紐つき飴を阿保みたいに買って舐めた憶えがある。


1丁目のアーケードに入ると、そこそこ人で賑わっていた。
老舗和菓子屋や、呉服店、八百屋などの店が並んでいる。

が、2丁目、3丁目と進むにつれ、ちらほらとシャッターの閉まっている店が目に入るようになり、人影も少なくなっていく。

6丁目の入口に着くころ、開いている店は一つもなくなった。
人影もなく、薄暗い。
遠くに電車の走る音が聞こえてくる。

こんなところに営業している店なんかあるのか。
少しためらったが、薄暗い6丁目に足を踏み入れた。



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あきゅろす。
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