高鳴る鼓動
タカトシが去った今、2人が真っ先に思い付いた遊びが、テレビゲームだった。
2人ともよくする上、盛り上がるので、かなり堅実な決定だろう。
コトミに至っては、長期休業中は兄妹揃って朝までゲームをするほどのやりこみっぷり。
その甲斐あって、冗談じゃなく強かった。
ゲームの上手さなんて、どれだけ時間と体力を無駄にしたかと言うことだ。
いや、それが真は分からないが、そのくらい、やりすぎ。
そんなコトミを敵に回したくないハルヤは、バトル系ではなく共闘系のゲームを選択した。
「これから先にドラゴンがいるから、気を付けてね。
ターン制だし、物理攻撃は防御できれば怖くないから、大丈夫だよ。」
「コトミン!
あっしは後方支援に回りますぜ!」
「了解!
じゃあ、レッツゴー!」
2人でゲームをするのは初めてではなかった。
今は据え置き機でプレイ中だが、ポータブル機で放課後に何度もやったことがある。
その時は、シノやらスズやら邪魔ばかり入ってろくに楽しめなかった。
しかし、今は違う。
邪魔者もいない、責める人もいない、完全な2人きりの空間。
コトミの鼓動は、心を突き動かした。
(ハルヤが真横に…。
今すぐもたれかかりたい…。
ちょっと、頑張ってみようかな。)
そのせいで、真剣にゲームができない。
心、我に非ず。
ドラゴン戦を前に、どう斬り込んでいこうかなどと言う戦略を立てておらず、アバターをドラゴン戦へと向かわせてしまった。
グォォォォォオ!!
ルナアイロク・ドラゴンに遭遇した。
周りには、コンマ・リョ・チッグが2体。
コトミからすれば、余裕で攻略しているステージである。
しかし、今回の敵は、自分。
集中力をハルヤに奪われる。
「せいやっ!」
「いいよ、いいよ!」
ドラゴンを攻め立てるコトミだったが、ここでハルヤに急接近する。
「ハルヤ。
これをこうしたいから、このボタンでSドライブモードにして、ドカンと決めちゃって。」
「オールおk。
分かった。」
操作を教えるコトミは、ちゃっかり彼とぴったりくっついた。
男性のドキッとするポイントだとどっかの情報誌で聞いたので、試してみる。
胸の柔らかい感触は彼には効かないため、効果は3割程度だろうが。
(胸デカイな。
アイツが好きそうだ。)
いや、むしろマイナス効果かもしれない。
ハルヤに対して今のアタックは不発に終わったが、コトミはひとり、発動した。
いや、発情した。
(ど、どうしよう…。
ハルヤに胸当てたら、ムズムズしてきちゃった…。)
また性欲を一気に解放するため、本日も禁欲中だったのだ。
結構長い間我慢したので、そろそろ快楽を得たい所。
わりと性欲を自重しなかった今までの生活習慣が祟り、淫れたくなってしまった。
彼に対してのアタックは、結局自分の崩壊を生んでしまったのである。
(ハァ…。
アソコいじりたくなってきた。
ん?
この場合、いじってもらいた…?)
コトミはハルヤのことを考えたとたん、完全に欲情した。
自滅ばかりのコトミは、それでもゲームを続ける。
ハルヤにあれこれ言いながらも、気持ちは彼とアソコに向かっていた。
暴走するコトミの心を早く止めなくてはならないものの、止められる人が来るのはまだ先の話。
そのコトミはと言うと、次の瞬間には彼の真横でM字開脚を繰り出した。
(ダメ!
ムズムズがおさまんない!
どうしようこのピンチ!)
色々考えてたら、ソファーに座ってゲームをする時のクセが不意に出てしまったようだ。
しかし、これは偶然、ハルヤにも効いたようで…。
(おい。
そんな座り方したらパンツ見えるだろ。
つか、見えてるだろ!)
真横に見える太ももが、露になった絶対領域が、半分めくれたスカートが、前から見たら丸見えというイリュージョンが、彼のマイクをにわかに動かした。
そんなことを知らない彼女は、必死に画面へ食らいつく。
あらゆる欲との戦いだ。
その副作用なのか、コトミのはいている下着には、シミができはじめていた。
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