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未知のチカラ-03
「もうムリ…、私はここで終わってしまうというのか…。」

「た、タカトシ君がなんで…。」

最終下校時刻が迫っている。

授業で散々使った(一部の人間のみ)頭へと更にムチを打ち、
思考を止めずにここまでずっと議論をしてきた。

そろそろ疲れも見える頃だろう。

コトミは既にノックアウトしそうな雰囲気。

一方の三葉は、
津田がみんなの下着を覗くことをようやく理解したらしい。

その先は理解できぬようだが。

「さて、じゃあ私からひとつ提案しようかしら?」

「ん、何かいい案あるか?
今日の所はそろそろ終わらせたい。」

ここで出てきた不穏な人物、
デジタル一眼レフカメラは自分のアソコ、
その人物の名は、
あえて言わない。

いつもどこからか登場しては、
普通では考えられない挙動で周囲を混沌へと導く彼女。

今回も荒らしにかかるのだろうか。

「最も確実な方法として挙げられているのは"スパッツはく(任意)"ですが、それよりも確実な方法がひとつあります。」

「それは凄いですね。
で、どんな方法です?」

畑の視線の遥か下から声がした。

頭の良い彼女ですら疲れが見えている中、
畑の発言は注目を浴びた。

「私達が何故こんなことを話し合っているのか。
そこを突き詰めれば簡単に分かる話です。」

「簡単に、ですか?」

「それは?」

魚見と七条が興味深そうに話の進展を促す。

その他の人間達も、
頭がパンクしてダウンしている三葉ちゃんを除いて畑の話に耳を傾けた。

因みにトッキーは、
くだらなくて帰ったか多目的ホールへ辿り着けなかったかで不在である。

「私達がこの議論をする理由。
それは、私達が下着を晒したくないからです。」

「あぁ…。
まぁそうだな…。」

「まだ分かりませんか?
つまり、下着を晒したくないという羞恥心が私達を恐怖のどん底へ突き落としているんですよ。」

ずいぶん遠回しに話を展開するので、
みんな畑が何を言いたいのかピンと来なかったのだが、
ここに来て感づいた人もいたようだ。

魚見と七条である。

ただ、
ふたりのみ。

不確かな勘だけ。

洞察力に自信のある五十嵐は、
畑が無表情で何を考えているか分からないため、
感づけなかった。

あとひとりいる?

一応コトミをカウントするならば3人だが…。

「分かりました!」

「おや、コトミさん。
気づきましたか?」

「はい!
でも、わざとタカ兄にパンツを見せ続けて、羞恥心をなくす方法なんて勇気がいりますよ〜!」

「全然気づけてねぇ…。」

津田がツッコミを入れる。

そりゃそうだ。

"見られないようにどうするか"と言う議論の結末が、
"見られても大丈夫なように精神を鍛える"と言う結論じゃ本末転倒もいいところ。

コトミの思考回路は別方面において完成されつつあるのだろうか。

いや、
天性の回路を持つ天才なのだろうか。

それが事実ならば、
これほど役に立たない天才はいないと思うが。

「な、なんてこと思いついてんのよ…。
アンタならまだしも、私達が津田にそんなことできるわけないじゃない。」

「全く。
コトミよ、もう少しマシな回答をせんか。」

「いえ、正しく彼女の言う通りですよ?」

「そうだよ。
何言ってんだよコトミ…、と畑さんアンタもだー!」

まさかまさかのコトミ正解。

魚見と七条が人知れず赤面していると言うことは、
彼女達も正解である。

萩村も天草も面食らって立ち尽くし、
津田の激しいツッコミが多目的ホールに響き渡った。

「何を考えているんだ畑は…。
却下に決まっとるだろう。」

「えー、名案だと思ったのですが。」

「んなわけあるか。」

満場一致で却下だった。

当然だろう。

風紀紊乱にも程がある。

「そもそも、畑さんだって見せられないでしょ?」

「私は見せられますよ。」

「え?」

畑は、
七条の問いかけに毅然と答えると、
津田の目の前に行った。

そして、
そのやりとりに呆然とした津田の前で止まると畑は、
自分で自分のスカートをめくっていくのであった。

「ちょっと!」

「畑!!」

「えっ!?」

萩村と天草が制止に向かうがしかし、
フォローが遅すぎた。

一瞬でスカートは全開になってしまった。

津田は、
本当にめくるわけないと思っていたため、
しっかりとスカートの中を目撃してしまった。

一方の畑は、
顔を赤くしていた。

そして、
こう言い放った。

「これはアンスコです。」

アンダースコート。

テニスやバドミントンなどの競技を行う際、
下にはくものである。

畑のスカートから見えていたものは下着ではなく、
これだった。

「…!!」

「これだ!
アンスコなら…!」

「アンスコとは言え見せるのはなかなか恥ずかしいものですね。
ま、初めのうちはこれで慣らしていきましょう。」

「いや、もうその話いいから…。」

天草と津田が閃いた。

アンスコなら、
着替えを要する瞬間においても脱ぐ必要はない。

これをはいておけば、
スカートが風でめくれようが津田にめくられようが、
覗かれようが下ろされようが関係ない。

万が一着替え中であっても、
スカートがさらわれても、
保険はかけられる。

これなら磐石だ。

「よし!
決まった!
これで行こう!」

「へ?
何?
決まったの?」

「ムツミちゃん、今度からアンスコをはいとくように!
私も機械の改良に入らなきゃ!」

「確かに、それならタカトシ君に見られても…。
でも、見られるって決まったわけじゃないじゃん?」

ひとりだけ冒頭に話が戻っているが、
概ね会議は終了の様相を見せた。

津田×氏家ト全の力がどこまで強いものかは分からないが、
ひとまず対策としては十分だろう。

これにて閉会、
最終下校時刻はどんどん近づいてくる。

しかし、
畑は若干不満気である。
どうせパンチラショットでも狙っていたのだろう。

彼女が不満に思うなら大丈夫。

平和的な解決法だ。

「でも、色気ねぇ女とか思われたらイヤだなー。
シャンでグラマーなだけじゃドッチラケちゃうし。」
(美人で豊満なだけじゃしらけちゃうし。)

「何言ってるか分からないけど、とりあえず今あなたから色気は感じません…。」

「もう、冗談はよしこちゃん!
ま、こっちは冗談だけど。」

「会話を続けにくい…。」

ややひどいツッコミをした津田に、
古谷は仕返しをした。

本人にその気はなく、
天然ではあるが。

さて、
最終回の総員パンチラを防ぐにはアンスコをはく(任意)で対応することとなった。

これで大丈夫なはず。

彼女達は、
ひとまずの安心を得た。

「あ!
津田、生徒会室の鍵を閉めてくるの忘れてしまった。
先生に用事があるから、悪いが閉めてきてくれんか?」

「はい、分かりました。」

パシられた津田は生徒会室へと向かうため、
多目的ホールの出口へと向かう。

会議は終了したので、
その津田に続いて続々と出口に向かった。

その時だった。

「…!?」


ビューっ!!


「っ!!」

津田が扉を開けた瞬間、
強風が多目的ホールに流れ込んだ。

そして、
彼女達のスカートは、
言うまでもない。

「津田…。
アンタ…。」

「タカ君…?」

「え?
お、俺…?」

「津田君…、まだ…、最終回じゃないよ〜…?」

「あわわわわ…。」

この場にいる全員から痛い視線を送られる主人公。

赤面(1名は青)している彼女達に、
汗をかいて苦笑いしかできなくなった津田。

それから逃れる最も都合のいい言葉。

それは―

「せ、生徒会室の鍵、閉めてきまーす…。」


パタム


「に・げ・た…?」

「タカトシ君が…。
私のスカートを…。」

「津田を捕まえろ!」

「タカ君にきちんとした性教育をしなきゃ!」

「私はアンスコはいとりますので無問題でした。」

唖然としている萩村と三葉、
気絶した五十嵐、
知らんぷりしている畑を除き、
逃げた津田を捕獲しにかかった。

あぁ、
津田よ。

これからも頑張って主人公を務め、
我々を大いに楽しませて欲しい。

津田が持つ力に対抗することがいかに難しいか。

議論することにより、
それがより鮮明に分かったはずだ。

だから、
議論などすべきではない。

なすがまま、
大人しく我々に一回下着を見られればそれで済むのである。

対抗策を見つけてこの様、
今回のパンチラを含んで2度見られる羽目になった。

今後も、
同じことをすれば同じようになるだろう。

津田の力が少し解放された今日この頃、
彼女達の不安は、
ぶり返すどころか悪化してしまったのだった。





おまけ

津田
「なんで!?
なんで俺がこんな目に!?」

七条
「待て待てー!
私のあらぬ所をよくもー!」

出島
「よくもお嬢様ををををー!!
お嬢様の×××、どうだったか聞かせなさーい!!」

津田
「なんか音速で近付いてきたぁぁぁぁぁあ!!」

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あきゅろす。
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