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未知のチカラ-02
時間は限られている。

授業終了からの時間と言うのは案外長いようで短い。

時間を欲すれば欲するほど時間は足早に過ぎ去って行くように見えるもので、
緊急会議の時間も淡々と削られる。

今ホワイトボードに書かれていることは、
『スパッツはく(任意)』
のみである。

議論が行き詰まる前に、
天草はかなり早めに手を打つことにした。

「むむむ…。
ダメだ、やはり難しい議論になるな。
助っ人を呼ぶことにしよう。
入れ!」

「助っ人?
誰です?」

助っ人になりそうな人物など誰かいただろうかと考えながら、
萩村は出入口に目を向ける。

しかしそこにいたのは…。

「よっ、生徒会役員共。
アンド小娘ちゃん達。」

「横島先生?」

「戦力にならなさそうとか言う顔をすんな。
もっと○○○な顔をしなさい!」

「どう戦力になろうとしてんだよ…。」

桜才学園の教師で、
自重を知らず、
非常に淫靡で危険なクソ○ッチ、
そして何故か生徒会顧問の横島ナルコがそこにはいた。

萩村や津田はともかく、
五十嵐や七条までその戦力を疑問視している様。

ツッコミ勢の人間は、
もう既に戦力外通告を出したいと思っている。

「つか天草、何で私を呼ぶ時命令口調だったんだ?
教師に対して。」

「だって…。
先生はその方がいいんですよね?」

「あ〜ん!
バ・レ・た〜?
さっすが天草〜!」

「これマイナス戦力なんじゃ…。」

津田のツッコミはもう極限表現と言えよう。

天草のペースに完璧に好きで呑み込まれてしまっているこの姿こそ、
横島ナルコの真価と言うものなのだろうか。

さて、
ここまでの脱線に600字近く使ってしまった。

これ以上は資源の無駄遣いになるので、
諸々は省いて本編に戻ることにする。

「つかさぁ…。」

「なんです?」

「ひとつ思ったんだけど、コレ津田がエラい惨めよね?
こんな大がかりに津田を集中砲火するようなマネして。」

「先生…。」

横島の言うことはもっともだった。

考えてみれば確かにそれはそうだ。

これでは会議云々以前に人権的な問題が出てくる。

会議と称したいじめに近いものが、
あると言えなくはないだろう。

これには男性恐怖症持ちの五十嵐ですら反論を出すことができなかった。

「いくら津田とてただの男子。
こんなことされたら傷付くことだってあるのよ。」

「…。」

天草も萩村も、
古谷もコトミも畑さえも黙ってしまった。

「それにこの子は現状でライトM。
開発途上なのよ。
この集団羞○プレイはまだ早いわ!」

「最後、おい最後!」

やはり横島は横島だ。

そんなどうでもいいことを最も力を込めて言ってしまった。

「津田…。」

「はい、なんでしょう?」

「すまん、そんなつもりはなかったんだ。
別に津田を傷付けたかったのではない。
それだけは分かって欲しい…。」

「…。
分かってますよ。
会長がこんな大々的に人を傷つけるようなことをするなんて想像できませんし…、ちゃんと会長のこと、分かってますから。」

「えっ…。」

「こらそこ二人!!
特に津田副会長!
調子に乗らない!!」

五十嵐風紀委員長のおでまし。

こんな問題と言うかトラブルもあり、
議論の続行に関する重要な事態を横島が拾ってきたので、
議論の進行はストップした。

続けるか否か、
その判断は津田に委ねられることになった。

「津田、どうする?
やりたくないなら、やめてもいいぞ。」

「うーん…。
どうしよう…。」

津田は思い悩んだ末―。

「じゃあ、多数決で決めましょう。
この会議が必要かどうか。
必要だと思う人。」

多数決という方法に委ねた。

津田の周りで次々と挙手をしていく。

そして数秒後、
結論が出た。

結果、
過半数が手を挙げ、
この会議は続行することになった。

津田は、
最初から分かっていたのだ。

天草が晒し上げなどするはずないと。

彼女がそんな悪どい理由から何かをしでかすことはない。

それを分かっていたからこそ、
普段と大して変わらないツッコミを見せることも、
会長を信頼するような言葉をかけることも、
五十嵐に対して苦笑いすることもできた。

さて、
思わぬことに時間を取られ、
本当にマイナス戦力にしかならなかった横島を職員会議に出させた後は、
また沈黙が支配することとなった。

「シノちゃん。
私、思い付いた。」

「ん?
アリア、何かあるか?」

沈黙の後、
口を開いたのは七条だった。

「津田君にこれをつけるとか?」

「それは…。」

七条が呈示したのは鉄の物体。

そう、
ご存知のアレだ。

貞○帯だ。

最近めっきり見かけないと思っていたが、
しっかりと所持していたらしい。

しかし、
何故男性用のがあったのかは謎である。

「七条先輩、津田にそれつけてどうするんですか?
あまり意味ないように思いますが?」

「これはね、津田君のがおっきくなったら電気が流れて、ビリビリするのよ。
結構痛いらしいよ。」

「え!?
痛いのはなーし!」

七条はああ言ったが、
この解説は間違っている。

実際は、シゴこうとした時に電気ショックを付与するのだ。

何故あんなデマを流したかと言うと、
痛みによる罰を与えることが目的ではないからである。

それでは防げないのだから。

これは、
津田を精神的に追い詰め、
パンチラを起こしてしまうような行動をなんとか抑制しようと言うものなのだ。

もしエロハプニングのようなことが起これば、
津田のムスコはおっきくなり、
電気によって痛みが生じると言う情報をインプットさせる。

だから津田はそれを避けるため、
自然とハプニングを起こすような行動に気を付けるようになり、
問題を解決しようと考えたのだ。

「ちょっと待って!
問題があります!」

「ん?
どうした?」

「それじゃ津田君、
快楽の自由を奪われることになります!」

「え!?
そこ!?」

轟の言ったことは一理ある。

彼女はほぼ常時快楽の自由を謳歌しており、
快楽に落ちることができない苦しみを理解した人物と言えよう。

津田とて青春真っ盛り。

性○を発散することは何も悪いことではないが、
それを制御して青春を送るなんて悲しすぎると言うのが彼女の主張だ。

「定期的に貞○帯を外せば良いのでは?」

「いいえ!
いつ、どこで、どんな風に楽しんでもいいはずです!
なのにそれをこんな風に抑制するなんて、津田君が可哀想です!」

「もういいからこの話…。」

魚見の提案にも断固として反対し、
何故か異様なまでの説得力を見せる轟。

一応述べる。

彼女はボケ側の人間だ。

そして彼女は楽しみすぎだ。

「そうだね…。
轟さん、私が間違ってたわ!
ごめんね、津田君!」

「七条先輩…。」

「そうです!
タカ兄のティッシュが余っちゃいますよ!」

「タカ君のことをそこまで考えて…。
感心しました。
悔しいです。」

「さっさと次に行けー!」

津田のスイッチが完璧に入ったようだ。

さて、
七条の案も断念、
更にこのあともいくつか案は出たが、
結局決まることはなかった。


津田と作者の力により、
困難を極めている今回の会議。

それに恐れを為したのか、
再び議論は平行線を辿るのだった。

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あきゅろす。
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