[携帯モード] [URL送信]
GAME4
現在先頭を走る三葉に襲いかかる天草、
そしてその背後から魚見がチャンスを伺っております!

膠着状態の中、
プレッシャーを跳ね退け、
最も強く、
最も速く、
最も心を制した者がバトルに勝利することができます!

混戦模様のリレー合戦はクライマックスを迎えようというところ!

さぁ、
グランドに勝利の足跡を刻むのは、
女神に最も愛された者!

勝利の女神はいつだって、
一番強い者を望み、
その者の手を取ります!

ついに最終コーナーの終わりが見えました!

三葉、
天草、
魚見、
津田!

今、
全員にチャンスが与えられています!

天草
「ここだ!」

三葉
「くぅぅっ…!!」

天草仕掛けたぞー!!

ラインを半分ずらして横に並んだ!

歯ぎしりすら聞こえそうなほどの全力疾走に見ている方にも力がこもります!

三葉、
万事休すか!?

ファイナルラップの最終コーナー出口で勝負をかけました!

魚見
「待ってましたよ…!」

さぁ!

魚見も行くかー!?

あー行った、
行ったぞー!!

これで完全なスリーワイド!!

なんてバトルだ!

イン三葉、
アウト魚見、
真ん中天草の三つ巴ウルトラバトル!

これは熾烈なトップ争いだ!!

津田
「行かせるもんか!」

天草
「マズい!」

魚見
「な…!
ダメージなんて…!
関係ないの…!?」

津田
「もらった!」

その後ろでは津田がコースギリギリを攻めて早くも全力走行!

最大馬力の猛威が、
三人を引っ掻き回す時が来ました!

トップは未だ三葉がキープ!

2番手はどちらかほぼ分からず、
外から直線番長の津田が起動!

壮絶を極めます!

ゴールの瞬間が全く分かりません!!

三葉
「最後の…、意地!!」

津田
「直線…!
来た…!」

天草
「あ、後は、全力だ!!」

魚見
「文句は、言わない…!」

最終コーナーを回った!

三人に津田が大外から被せ、
全員全速力大激走!!

津田が伸びる、
津田が伸びる!

しかし他も負けていない!

天草も、
魚見も、
三葉も、
力を振り絞ってゴールのテープへまっしぐら!!

四色四様の光が一直線にフィニッシュラインへ向かっていきます!

灼熱の晩夏を飾る最速チームはどこか!

それは、
様々な想いが交錯し、
どこが飾ってもおかしくありません!!

全員相応しく、
どれも輝かしい!

ゴール地点には幾人もの仲間が待っています!

その仲間の元へ、
誰よりも速く到着したい!

その想いを秘めて!!

萩村
「津田!
もう少しよ!!」

古谷
「魚見さーん!!」

海辺
「ムーツミー!
行けー!!」

七条
「シノちゃーん!
ファイトー!!」


「勝てよ!!」

コトミ
「お姉ちゃん!!」

柳本
「津ー田ー!
ラストだー!!」

中里
「ム・ツ・ミー!!」

横島
「もうちょっとよ!!」

五十嵐
「頑張って!
負けないでー!!」


「会長ー!!
いいですよ会長ー!」


「津田くーん!!
もうすぐゴールよー!!」

仲間と戦って、
歓んで、
全力を出して、
ただ何のためでもなく、
己と仲間と最高の時間を共有する!

これが、
『GAME』!!

「「「「勝った―!!」」」」





ルナロクの実況と共に追ってきた今回のリレー合戦。

四人はほぼ同時にフィニッシュし、
テープは切られた。

力みすぎて腹筋が疲れるほどの激闘となったラスト、
勝ったのは―

「ビデオ判定の結果、
天草さんを1位と判定します。
よって、赤『チーム桜才3年』の勝利とします。」

「やった!」

「わー!」

出島より勝負の結果が伝えられると、
赤チームの面々は手を合わせたりバンザイをしたりガッツポーズをしたりで喜びを表した。

最後の最後、
天草は三葉を抜き、
迫ってくる津田からギリギリ逃げて勝ちをもぎ取ったのだ。

次にゴールしたのはなんと津田。

土壇場で2人抜きを見せ、
素晴らしい活躍を見せた。

残念ながら三葉は最後の最後に抜かれてしまい、
3位に終わったが、
トラブルがあった上に相手が良くなかったことが災いした結果だろう。

魚見は追い上げ虚しく最下位だが、
コトミの時には大差をつけられていたことを考えると、
一度浮上しただけでも驚異的な走りを見せたと言えよう。

「改めて、優勝、赤チーム!」

出島が再び天草達を称えると、
拍手がグランドに響き渡った。

「やったー!」

天草は満面の笑顔で両手を空につき出した。

それを見た周りの人達はそのはしゃぎっぷりに笑うしかなくなっているが、
天草の性格はここにいる誰もが分かっている。

こういったイベント事は本当に好きだ。

こう言う一面があるのも天草の良い所であり、
ある意味彼女が人を惹き付けるポイントなのかもしれない。

「いや、気持ちいいぞ!
あ、別にエロってる最中の単語を言ったわけじゃないぞ?
全力出して勝ったことに対してのコメントだ。」

「テンション上がって長めのボケ、お疲れ様でーす。」

「あんたも高めね…。」

津田も少しハイテンションになっているようだ。

彼もまたどこかスッキリした顔色をしており、
全力を出しきったのだろう。

三葉と魚見も敗北に残念がっていたものの、
ほぼ同じような状態であった。

「タカ君。
負けちゃった。
速かったね。」

「あぁ、あれはもう奇跡ですよ。
横にずっとみんなが見えてたから、まさか抜いてるとは思いませんでした。」

「そうですね。
私に奇跡は起きなかったけれど、でも楽しかったよ。
タカ君の横で走れて。」

「は、はい。
俺も楽しかったです。」

魚見はあまり見せない笑みを津田に投げかけ、
結んだ髪の毛を揺らす。

その不意の笑顔にやられた津田は少し頬を赤らめた。

「おいウオミー!
そのポジションは勝った私の特権だろう?」

「最後くらいせめて目立とうと…。」

「タカトシ君〜!」

「「はっ!
漁夫の利展開か!?」」

「アハハ…。
何それ意味分かんない…。」

三葉も巻き込んだ天草と魚見のボケに、
津田は苦笑いするしかなった。

「ちょっと津田君!
女子生徒にデレデレするのはやめなさい!
いい加減そう言う態度を直してもらわないと困ります。」
「デレデレしていいのは私に対してだけです!」

「そ、そんなふしだらな言葉をあてないで!!」

クオリティの高い畑の言葉選び。

さすがと言うべきアテレコ、
伊達に脚色家をやってない。

「どうしたの、スズちゃん?
顔怖いよ?」

「何でもありません。
私、もともとつり目だからキツい感じに見られるんです。」

「確かにスズちゃんはキツそうだね。」

「不思議…。
七条先輩が言うと意味が違って聞こえる…。」

さて、
津田のプチハーレムは程々に終わらせておいて、
ここで各チームのコメントを。



赤チームのコメント

「汗びしょになっちゃった。
気持ち悪いから、今日は早く帰って風呂入って気持ちよくなろう!」

「えー、シャワーとか大したことないじゃないですかー?」

「いや、元々濡れているからいくら○情しようが問題ないと言う点を挙げるべきだろう。」

「お風呂はそう言う場所じゃありません!!」



白チームのコメント

「スゴいバトルだったね!
でも負けたからグランド30周だなー。」

「おい!
10周増えてんぞ!?」

「えーん!
そんなに走ったら死んじゃいますよぉぉー!」

「はぁ、ダリぃ…。」



黄チームのコメント

「走るのも別の意味で気持ちイイね!」

「いや、そっちが本来の意味だから!」

「明日筋肉痛だなー。
って柳本、どうしたんだ?」

「プチハーレムが羨ましかった…。」



黒チームのコメント

「あー、アルコール飲みてぇ!
ビールに焼酎にハイボール!」

「あ〜、いいっスね、先生!
一杯行きますか!?」

「私はまだ飲めませんが、最初に飲むお酒はワ○メ酒がいいです。」

「おー、それも一興ですね!
でもノンアルコールでいくと言う手もありますよ!」



今年最後の夏を最高の形で終わらせたのは、
チーム桜才3年の赤チームであった。

ただ、
勝った所はもちろん負けた所も笑顔に溢れ、
いつもより活気に満ちていた。

全力疾走して疲れているはずなのに。

その小さな小さな矛盾。

それが、
彼らの青春であるのかもしれない。

「疲れたー!!
今日はぐっすりだな!」

酷暑のグランドには、
天草を中心に蒼い春が広がっていた。





おまけ


「そういやバトン、やけに滑りやすかったな。」

萩村
「そうなのよ。
なんであんなに滑るんだろう?」

出島
「あ、すみません。
使用したあと拭くのを忘れていました。」

津田
「会長、出島さんに制裁を。」

[*前へ]

4/4ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!