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Le Printemps De Quatre 04
「津田?
萩村?
一体どうした…?」

ここで、津田の友人、柳本ケンジが部屋に入ってくる。

たまたま通りかかった彼は、津田と萩村の大声を聞いてやって来たのだ。

何事かと状況確認をするが、まもなく柳本の視界にもその本が入る。

そして全てを察した柳本は、津田に優しい声を投げ掛けた。

「まぁ津田も男だもんな。
そう言う物持っててもおかしくないだろ。
でも生徒会室に持ち込むのは失策だったな。」

「柳本…。
…いや違う!
俺はこんなもん知らない!」

柳本の優しい言葉に思わず引き込まれそうになったが、踏み留まる津田。

混乱と焦燥に引っ掻き回され、現実を理解する余地が与えられない。

「何が失策だ!
柳本と言ったな、乙女ナメてんのか!?」

「だしに使われた身にもなってみてよ!
気分悪いでしょ!?」

「ヤナギモトォォォ!
貴様は悪に魂を売ったのか!」

「津田よぉ、俺が言うのも何だがお前最低だぞ!
もう少し考えて行動できないもんか?」

「畜生め!」

手のひらを返す柳本。

彼は自分の立場が危うくなるとこうなる性質があるらしい。

菌に例えると日和見菌である。

男子で最も仲の良い柳本にまで責められた津田。

しかし、柳本も決して見捨てたわけではない。

柳本の目の奥は、女と恐怖が同居して震え上がっているようだった。

「ではな、津田。
しっかりするんだぞ。」

キャラにもないような口調でこの場から立ち去る柳本。

立ち去ると言うよりも逃走と言った方が正解か。

鈍感な津田にそんな彼の心情が分かるわけもない。

津田は息が上がって来る。

3人は謎の団結力を見せた。


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