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GAME1
身がとろけてしまいそうなほどの残暑が、
まだまだ冬の訪れを感じさせない。

しかし、
木々は早くも衣替えを敢行し、
来るべき冬に備えて葉の色を変え始めていた。

紅葉の見頃まではもう少しだ。

さて、
この暑さが厳しい中、
桜才学園のグランドには多くの人々が集合していた。

「ではそろそろ始めるか。
今回やることは…。」

声を掛けたのは天草。

今から何をしようと言うのか。

「桜才学園生徒会主催!
リレー合戦だ!」

「おー。」

リレー合戦。

合戦かどうかは定かではないが、
とりあえず運動会みたいな感じになっている。

「日頃から運動してる者もいるが運動不足の者もおる。
いい機会だ、全力を出して競い合おうじゃないか。」

「会長!」

「なんだコトミ?」

「私が全力を出すとセカイを破壊して終います!
だから私は参加しません!」

「参加したくねぇだけだろ。」

適当な理由を付けて参加を見送ろうと目論んだコトミはあえなく陥落した。

例え本気でないにしても、
50mを9秒後半で走った後に息を切らしているようではお話にならない。

今日も愉快なコトミなのであった。

「リレーのグループはどうなってるんですか?
ってだからなんで私まで…。」

リレーの班編成を泣きながら尋ねた五十嵐は、
半強制的に参加させられたらしい。

ちゃんと来るあたりが彼女らしい。

「それは出島さんから…。」

「はい。
では発表させていただきます。」

ここからは、
実況ルナロクでお送りいたします。

それでは走順と共にグループを紹介しましょう。

赤グループ、
『チーム桜才3年』。

第1走者は畑。

以下走順に、
七条、
五十嵐、
天草。

白グループ、
『柔道部ランナーズ』。

第1走者、時。

以下同様に、
海辺、
中里、
そして三葉。

黄グループ、
『クラスメート共』。

第1走者、柳本。

以下は、
轟、
萩村、
津田。

黒グループ、
『チョベリグ&in"Y"チーム』。

第1走者、横島。

以下、
古谷、
コトミ、
魚見。

ここで、
各チームのコメントをご紹介しておきましょう。

まずは赤、
『チーム桜才3年』。

「アリア、貞操帯はハンデになるから外せよ?」

「大丈夫だよー。
今日は布ひとつないから、軽いよ。」

「やはりノーパンでしたか。
事故、期待してますよ。」

「この班編成、もう泣けるわ…。(泣)」

続いて白、
『柔道部ランナーズ』。

「みんなー!
頑張るぞー!」

「おー!」

「つか何でうちらだけ柔道着なんだ…?」

「ダリぃ…。」

黄、
『クラスメート共』。

「このチーム、男子2人もいるけどなんか心許ないわね…。」

「そんなこと言うなよ〜。
俺たちだって腐っても男子なんだからさ。」

「腐っても男子?
つまり腐男子?」

「その解釈のしかたはおかしい。」

最後に黒、
『チョベリグ&in"Y"チーム』。

「またタカ君と違う班…。
組織の陰謀を感じます。」

「グループ分けをする際に何らかの裏取引があったのかもしれないですよ?
世の中物騒ですね!」

「ってゆーかチーム名に色々ツッコみたい。
"いんわい"って何事?
誰のこと?
しかもなんでYが強調されてんの?」

「全部先生のことじゃないかなー。
しっかし、あんまりナウいチーム名じゃないな〜。」

では、
いよいよレーススタートです。

灼熱の晩夏を飾る最速チームはどこか。

秋も迫るここ桜才で今、
新たなるドラマが観客、
そして走者たちを待ち受けています。

走者は皆、
ただ全力を持ってバトンを繋ぐのみ。

それが勝利への最低条件であり、
絶対条件であります。

さぁ、
第1走者の畑、時、柳本、横島がスタート位置に着きました。

一人あたりの距離はたったの200m、
待ったなしの超スプリントレース。

短い距離が大きなドラマを生みます。

短い時間、
されどそれは濃く、深く、そしてただならぬ興奮を与えます!

さぁ、
高まる緊張!

今スターターがピストルを真上に上げます!

「位置について!」

号令と共に張り詰める空気!

今にも心臓の鼓動が聞こえそう!

「よーい!」

さぁ、
最速は一体誰だ!


パーン!!


さぁスタート!

中里
「いけー!」

萩村
「頑張れー!」

七条
「ファイト〜!」

古谷
「先生ー!
腰労ってー!」

時がするするっと隊列から抜け出ました!

時スタートダッシュ成功!

2番手の横島を突き放しにかかります!

3番手には畑、
そして柳本と続きます!

「くっ…!
ここまでネタ不足なメンバーで走ることになるとは…!」

あっと!

早くも3番手の畑が失速か!?

柳本にオーバーテイクを許し順位逆転!

天草
「コラ畑!
本気出さんか!」

津田
「柳本ー!
前方注意だぞー!」

時の快走ぶりは凄まじいものがありますね〜。

コーナーを駆けます駆けます!

一方の2番手、
横島はズルズルとペースを落としています。

しかしその背後の柳本もペースダウン!

時のみがペースを上げてかなりのギャップを築いています!

磐石体制を築いた白。

一方で団子状態は黒、黄、そして最後に赤。

このあたりは集団での争いが続きますが、
やや後ろ2チームが追い付いて来ましたでしょうか?

前を狙います、黄の柳本。

「!!」

さぁ、
柳本が横島に追い付きましたが…?

あぁ、
おかしいおかしい!

なんと現在2番手の横島がスローダウン!?

一気に柳本と畑に抜かれて行きます!

黒にトラブル発生!

古谷
「あちゃー。
腰やっちゃったかー。
昨日夜通し××だったみたいだから壊れちゃったみたいだねー。」

津田
「言葉にならない…。」

そしてそんなトラブルを他所に時がバトンを海辺に渡そうと言う所!

大量リードを持ってバトンを第2走者へと渡します!

驚速トッキー!

これは俄然白が有利な展開に―

「ヤベッ!」

―なりま…、
あぁーっ!

そんな事を言った矢先!

ここで時がバトンを落としました!

時、
バトンポイ捨て!

海辺
「ドジ!」

三葉
「ひゃー!」

大量リードを以て海辺にバトンを繋ごうとしていた矢先!

なんとバトンが落下しました!

さぁ、
時が順位を2つ落としてトップは黄の柳本。

続いて赤、白、黒の順でバトンは第二走者に渡ります!

柳本
「後は頼んだ!」


「ここが唯一のシャッターチャーンス!
…あ。」

文字通りバトンタッチを完了!

あっと!
そして畑が転倒!

バトンを渡し終えた畑が勢い余って滑りました!

しかしバトンはしっかりと繋ぎ、
七条は轟を追いかけています!

柳本は轟へ、
畑は七条へ、
そして時が今バトンを海辺に渡しました。

トラブル発生の横島、
黒チームは大きく後退し、
古谷が今や遅しと受け渡しを待っています。

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あきゅろす。
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