Le Printemps De Quatre 02
「ち、違いますよ。
か、会長のじゃないんですか?」
「私のせいにするな!
お前、五十嵐が机覗いた時に隠そうとしただろ。」
「えっ?
いや、してないですよ!」
勢いよく怒り、目に角を立てて怒鳴る天草に津田は焦ってきた。
2人の形相はとてつもない。
不自然なまでにとてつもない。
津田はようやく状況を知った。
これから大変なことになると。
「嘘よ!
津田君の手が一瞬動いたの、私見たんだから!」
「い、いや、だって五十嵐さんは俺のだって思うでしょう!?
男性恐怖症ですし、俺勘違いされやすいですし…。」
「それっぽい言い訳よ!
それに、"あ。"って言ってたのも聞いたんだから!」
事実に適当な言い訳を付け、五十嵐を引き合いに出した津田。
しかし、言い訳には少し辛い。
何気ない仕草や言動が、自身を追い詰めて行く。
「脚色ね。」
ここで新聞部部長の畑ランコが乱入。
いつも通り、スクープを狙って突如登場した。
畑は神出鬼没。
いきなり現れてはカメラのシャッターを切り、ネタにして人を弄ぶ悪しきジャーナリズム精神が根付いたまさに不届き者である。
「畑先輩…!」
「よくいるわよ、そう言う人。
自分の行為を正当化するために適当な言い訳を付けて、正義を自分のもの、つまりい○もつにしてしまう。」
「そんなヤツいねぇだろー。」
畑は持ち前のポーカーフェイスで語り、津田のことをじっと見て、目の奥を一瞬光らせた。
何やら大スクープの予感が。
来週発行の桜才新聞の内容はほぼ理解できる。
この件をずっと、生徒会室にある掃除ロッカーの中で聞いていたのだから。
「津田副会長が生徒会メンバーで自慰、と…。
んじゃ。」
「あの人脚色する気満々だー!
脚色を正当化したー!」
陸上フィギュアスケートでこの場を去った畑。
羽○結弦や浅○真央もさぞかし驚いたことだろう。
「…。」
彼女が脚色家なことは誰でも分かっているが、誰かの不祥事はみんなが興味を持つこと。
新聞に書かれでもしたら大変なことじゃ済まない。
生徒会副会長の地位が徐々に揺らいでいく。
津田の顔色は、目に見えて悪くなっていった。
その顔色を見たのか、天草と七条が意味深に津田をチラチラ見ながら内緒話をする。
何か重要な話をしているのだろう。
その内容は分からずとも、彼にかかるプレッシャーは、大きく重くのしかかった。
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