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Le Printemps De Quatre 01
「なんだこれは…。」

4月になったばかり。

春の生徒会室で呆然とする、桜才学園生徒会副会長。

その視線の先には3冊の猥本。

入った途端に見つけた津田は、表紙を覗き込んで理解不能と言った表情を見せる。

「誰もいない代わりに何故こんな本が…?」

しかも表紙を見てみると、ツンデレ系、天然巨乳系、ロリ系の内容らしい。

「これじゃあまるで…。」

その時、生徒会室のドアが開く音がした。

「おぉ津田、来てい…。」

「つ、津田君…。」

「早いわね、津田。
ん?
皆さん、どうしたんですか?」

イベント好きなツンデレ系生徒会長の天草シノ、ジョークが重い天然系巨乳の書記七条アリア。

両者は、机に置かれた猥本を見て言葉を失った。

厳密にはペド系のロリ会計萩村スズは、身長が低すぎて机の上の惨状が見て取れない。

そんな彼女達を津田は呆れ顔で見る。

「先輩方ですか?
こんな物持ち込んだの。
なんなんですか、これは。」

津田がそれを言うと、萩村は机の上をひょこっと覗き込む。

本人がキレるので誰も言及することはないが、萩村は小学校低学年並の身長しかない。

顔半分位しか机の盤面に達しないのは驚きだ。

覗きこんだ萩村は珍しく血の気が引いて気絶している。

血の気どころか服の色まで真っ白に。

「萩村が五十嵐さんに…。」

「何の騒ぎですか?」

その筋の情報によれば、噂をすれば影が差すと言う。

まさに五十嵐カエデがやって来た。

本校の風紀委員長であり、若干男性恐怖症を抱える。

津田と接していくうちに治ってきたようだが、まだ完治には至っていない。

下ネタを言われるとたまに立ったまま気絶する面白い人。

「つ、津田は…。
我々をそう言う目で見ていたと言うのか…?」

「ひどい!
そんなふしだらな子だとは思わなかったわ!」

五十嵐の問いかけを無視し、津田にドン引きする二人。

五十嵐も状況が掴めない様子。

(はい?
ちょっと待て、会長か七条先輩の本じゃないのか?)

「えっ…。」

「あ。」

そこで五十嵐が机の上を見てしまう。

瞳孔が縮小したかと思いきや震え始め、津田に背を向ける。

気絶している萩村を他所に、本家は両手を高々に上げて走り去るテクニックで対抗した。

「淫猥!
淫らだわ!
ふしだら副会長!
ふとどきものー!!
これだから男子はー!!」

キレながら泣いて逃げる五十嵐の騒ぐ声は、次第に小さくなった。

「見損なったぞ、津田…。
お前を生徒会に入れたのは間違いだったようだな。」

「もう津田君なんて知らない!」

怒りと絶望を露にし、津田に冷ややかな視線を送り続ける天草と七条。

対する津田は益々混乱して、理解不能と言った様子。

凍てついた空気の中、不自然なまでに津田の心臓は鼓動を早めた。

温まるはずの体は冷えきり、しかし、汗は滴り落ちるのであった。



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あきゅろす。
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