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右側
天草
「……。」

コトミ
「くかー。」

津田
「まだ寝てるのか。
ってコトミ…。」

コトミ
「くかー。」

津田
(草原か!
なんで大の字で寝てるんだよ…。
ったく、だらしないなぁ…。)

コトミ
「Z」

津田
(よいしょっと。
意外と足重いな…。)

天草
「んう…。」

津田
(ん?
会長、寝ぼけてるのか。
…こうして見ると、会長、ホント綺麗だなぁ。
寝姿も完璧、か。
って、俺は何をしてるんだ。
コトミの足を閉じに来ただけだろ。
さ、帰…。)

 ギュッ

天草
「んうぅ…。」

津田
(なんだ?
手なんて握っちゃって、何の夢見てるんだろう。)

天草
「津田…。」

津田
「え?」

天草
「津田ぁ…。
どこに行くんだ…。」

津田
(寝言か…。。)

天草
「いやだ…。
どこにも、行くなぁ…。」

 ギュッ

津田
(…。
ふふっ。
なんだかなぁ。)

天草
「…やだ――」

津田
「俺はここにいますよ。
ずっと。」

天草
「…?
……。」

津田
「…おとなしくなったな。
布団かけ直そうかな。」

天草
(う…。
夢か…。
ん?
誰かいる?)

津田
「どっか行っちゃう、か…。」

天草
(津田?
あぁ、起こしに来たのか。)

津田
「先にどっか行っちゃうのは、会長の方でしょ。」

天草
「……!」

 むくっ

津田
「…あ。」

天草
「津田…。」

津田
「あ…、すみません、起こしちゃいましたね。」

天草
「ね、寝言、言ってたのか?」

津田
「は、はい。
すみません。
聞く気はなかったんですけど…。」

天草
「そっ、そうか…。」

津田
「……。」

天草
「…。
ただ…。」

津田
「はい。」

天草
「私は、どっかに行ったりは、しないからな。
だから、津田…。
私に背中を向けないでくれ。
私は、君の横にいるから…。」

津田
「本当…、ですか?
俺はいつも、会長は10歩も20歩も、前を歩いて――」

天草
「君は…!
今、私の右腕だ。
私の右側で、私の右手を握って、私の右側で話をしてる。
だから…。」

津田
「……!」

天草
「置いてかないでくれ…。」

津田
「会長。」
(大丈夫ですよ。
俺は、いなくなったりは、しませんから。)




夢の中で、遠ざかって行った彼。
その不安や本音が、思わず、口に出てしまうのだった。
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あきゅろす。
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