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俺と影

椅子に縛り付けられてもうかれこれ二時間くらい経っただろうか、そろそろトイレがきつくなる頃合いだ。

多分、普通の人が椅子に縛り付けられたまま大人しくいることはまずない。何とかして抜け出そうともがくのが当たり前だ。かく言う私こと高幡誠もその一人である。

どういうわけか起きた高幡誠大量出現事件により我が美空台高校ミステリー研究会は件の高幡誠本人を拉致監禁した後、多数寄せられた目撃証言から今回現れた通称『ドッペルゲンガーさん』に逢うために繁華街にあるMISHIMAと言うデパートに総出で出動中であり、俺はそのまま部室に取り残されてしまった。


奴らが出てからもう一時間は経っている。とにかく今すぐにでも俺はトイレに行きたい。だが、椅子に無理やり縛り付けられたままで身動き一つ出来やしない。

関節を一つ一つ外して抜け出すとか、たまたま隠し持っていたカッターナイフの破片を持っているとかそんな偶然はまず常識人である俺にはあり得ないことだ。

助けを呼ぼうにもミステリー研究会の部室は校舎から離れた小さいプレハブにあるし、普段から陰湿極まりないこのミステリー研究会に人が寄りつくことはない。

人としてはずれた者が行き着く先だととある友人は語っていた。俺はそうだなと肯定する。拉致監禁された挙げ句、どういうわけか件の容疑者?として上げられたであろう本人をほったらかしにして現場検証に行ってしまうほど頭がプ〜な人達の集まりなんだ。

ただ、認めたくないのは奴らが揃いも揃って全員学年トップ10のどこかに入った成績保持者と言うのが未だに信じられない。

見かけ倒しも良いところだ。



「便所行きたい」

下腹部が今緊張感100%を切りそうだ。ヤバいぜ。誰もいないけど漏らしたなんてことになれば更に目立ってしかたがないよ。



てか早く帰ってこいミステリー研究会(阿呆共)!!

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