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4月8日…9
「ほらよ」

「ありがとう」

白河におかわりを渡して俺は壁際にある机の椅子に腰かけた。

「でっぶっちゃけこれからどうすりゃいいんだ?」

俺は彼女にこれからの事を享受した。日記について話すと言っていたんだ。何か対策くらいはあるだろう。

「そうね、抜けた日の日記を書いてくしかないんじゃない?」

「えっ?それって今書いても?」

「あのね、日記ってのはその日の出来事をその日に書くから日記なんでしょ。今書いたってなんか意味あるの?」

彼女の言ってることは正論だ。

「つまり……?」

「また1年やりなおすしかないんじゃない」

やっぱりか…頭の角でそうなるだろうとは考えてはいたが、まさかそうせざるをえないとは。かといってなんで1年前に戻ったのかはわかっちゃいないし、元に戻るともわからない。

なら、そのまままた1年を過ごし、抜けた日の日記をつけてれば何らかのアクションかなんかがあるかもしれない。

それに、元の時間軸に戻っても待ってるのは受験だ。それがまた1年伸びたと思えばいいし、その間に受験勉強出来る。

幸い記憶と感覚は元のままだ。



「貴方の1年前に私は存在してない時点でイレギュラーが起きてるわよ」

「そういやそうだな」

考えが改まって呑気になってたが、白河という存在を忘れていた。

彼女は俺の知る1年前にはいなかった。

彼女に会った事がこの事態の原因なのではと俺は考えている。

「私は貴方にとってイレギュラーかもね。でも…私だって犠牲者みたいなものよ。貴方と同じ1年前に戻ってるんだから」

そして、更に忘れていた事に、彼女も俺とまた同じくして過去に戻ってしまった一人なんだ。

「わりぃ、白河がいるってことはアンタも俺と同じ事態に巻き込まれたって事なんだよな。忘れていてすまない」

「いいって、私にとってはただ1年ズレて転校したって言う事態なだけだから。遅かれ早かれ転校してきたことに変わりはないと思うし。でもこれって普通じゃ考えられない事じゃない?なら人には真似できない体験したって思えばいいんだし。問題はちょっと…いや世界レベルでマズイコとかな。因果を変えて今私は貴方の1年前に要るんだよね…う〜む……あぁでもないこうでもない……」

彼女は開き直ると思えばぶつぶつと考え事に浸ってしまった。

世界レベルだか因果だか運命だか知らないが、過去に何らかの干渉を与えたことで未来が変わってしまうとか言っていたが、こうして過去に存在してしまったからには今更ながら気がしてならない。

俺が無関心なのかと聞かれれば、それなりに考えているが当分は日記を参考に過ごせばいいとしか考えていない。

つまり、あまりややこしいからとりあえず考えないでそのまま生活すればいいや。



「お〜い白河?」

「…ことだから、あぁ〜面倒な事になったわね。って何よ」

やっと考え事から脱してくれた。彼女は考え込むと周りが見えなくなるらしい。
「とりあえず俺はお前の言う通り日記の抜けた日を書いてくって事にするけど…お前どうすんの?」

「どうするって……はぁ、あんたの気転の早さには呆れるわね」

白河は頭を抱えながらため息をついた。別に考え無しじゃないってのに。


「どうしようもないし、当面は普通に過ごすしかやることないだろ」

「むぅ…確かにそうだけど……いいわ。私もめんどくさいから考えないで普通に過ごすわ」

白河はそう言うと残りのほっとレモンを一気に飲み干してまたおかわりをせがんだ。

「お前、そんなに飲んで何処に入るんだ?」

「胃よ」

ごもっともで。こいつは酒を飲んだら笊だなこりゃ。

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あきゅろす。
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