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4月8日…4
それから始業式の時間に近づいたので俺達は体育会へ移動した。

始業式と言っても校長の挨拶程度でその後は今年から赴任してきた教師の紹介や、各学年クラスの担任、副担任の紹介が行われた。


予測通り、透センセは俺達3組の担任になったが、今日は生憎と風邪でお休みと少し寂しかった。

透センセは学校の生徒皆と仲がよく人気者だ。変わりと言ってはなんだが、副担任になった新任の三上亜弥センセが透センセの代わりを勤めている。

「えぇ、知ってる方も居ると思いでしょうが、今日から一年間皆さんのクラスの副担任を勤める三上亜弥です。宜しくお願いします」

「亜弥ちゃ〜んよろしく!!」

クラス一同(一部を除く)からの祝福を得て姉貴もとい、亜弥センセはご機嫌だ。


「ありがとうございます。それでは新学期最初のホームルームを始める前に、なんと…転入生が我が3組にご到着。皆さん拍手でお出迎えください」

亜弥センセの音頭に合わせクラス全員が拍手で転入生を迎えた。ドアが開き入ってきたのは白河望。男子からの「可愛い」ね暑い声援が送られた。女子からは「キャ〜綺麗」の羨ましがる声援とも嫉妬ともてれる声が聞こえてきた。


俺は敢えて我、関せずとシラを切っていた。予測された通りに白河望が転入してきて、皆が大盛り上がりしている最中、俺は事態の究明に勤しんでいたからだ。


昨日挨拶を交わした白河望と言う、未だ得体の知れない女の子。これが普通ならもっと祝福した形で見ていただろうが、俺にとっては昨日の

「ちょっと変わった力を持ってます」

と、ぶっ飛んだ挨拶だったので、見る目が違った。

更に、今日の朝の出来事も、昨夜の事だって未だに未解決したままであるため、俺は挨拶なんかそっちのけで今すぐに白河との会談を深く希望する。

白河の転入生がするようなマニュアル染みた挨拶が終わった。

ある生徒はフライングで質問していたがそれを亜弥センセは軽くスルーして白河の席を決めていた。

白河の席は予め決められたように俺の席の隣となった。


うわっベタなパターンだが、今の俺にとっては願ったり叶ったりだ。

男子からの猛烈なブーイングなんぞお構い無し。

テメェラ羨ましいか?



俺にとってはこんな事態を招いた参考人程度にしか思っちゃいない。

まぁ、ちょっとだけ美人が隣にいて華があるなぁって思ったのは皆には伏せておこう。

「宜しくね、黒咲くん」

「此方こそ今後とも」

なんとも無愛想な挨拶だが、今の俺にとってはこれが精一杯の笑顔だった。

「では、とりあえず今日は必要事項だけザッと連絡して、その後はお待ちかねの転入生質問タイムにしますね。それでは、まず明日は新入生の入学式がありますが、二、三年生は基本的に式に参加しませんのでホームルームを行います」


ウチの高校は入学式に二、三年生は出席せず、基本的にはホームルームをやる。ちなみに、運営にあたっては生徒会が主に動く。

「あ〜ぁ後、明後日から授業が始まるから皆ちゃんと時間割りを確認してください。あと、教科書代は来週までに提出してくださいね。ではではお待ちかねの質問タイムにします。白河さん、悪いけれど教壇の方に来てもらえるかな?」

白河は素直に前に出ていき皆の質問にテキパキ答えていった。



質問としては好きなものとか嫌いなもの、前の学校ではどうだったとか、恋人いますかなど定番な物から意味不明なものまで色々あった。

そういった変な質問には少し難色を浮かべた。でも白河は皆の質問にちゃんと受け答えしていた。

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あきゅろす。
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