短編集
1
本当にずっとずっとお前が好きだったー。
「なあー、今日先に帰っててくれねえか?」
「お、新しい彼女が出来たのか」
俺の名前は虎落啓(モガリケイ)。世間一般でいう男子校生だ。
いや、一般とは少し違うかもしれない。なぜなら……
「そうそう。今日デートの約束しててさ〜」
目の前にいるコイツ、林旭(ハヤシアサヒ)が好きだからだ。
俺がそれを自覚したのは中学生の時だ。
小さい頃から病弱で友達が出来なかった俺だったが、唯一幼なじみのコイツだけは毎日毎日飽きもせず俺の家に通い続けてくれて一緒に遊んでくれた。
病院に入院した時もお見舞いに来てくれて、俺はコイツの明るさのお陰で病気に勝てたと言っても過言ではないくらいだ。
そして中学生になって思春期に入りー
『俺、昨日初体験した!』
そう言って笑ったアイツを見て胸を痛めてから自分が女の子じゃなく、男であるコイツを好きだと気付いてしまったのだ。
もちろん初めは絶望したし今でも泣く時はある。
コイツは性格が良くて尚且つ顔はモデル並みに整っている。
何回も付き合っては別れて、それでも女は尽きない。
この親友ポジションは心地良いがデートの感想やキスマークを付けてくるコイツをみるたびに胸が苦しくなる。
何で俺は可愛くて柔らかい女の子じゃないんだろう。
何で頭が回るぐらいしか長所はないのだろう。
けれど側にいられたら何でも良い。
そう自分に言い聞かせて俺は今日も嘘笑いをするんだ。
「そうなのか、本当に良かったじゃん!」
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