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素直な気持ち 8





冷静にひとつひとつ考えたら、
…雲雀さんは最初から、…何も変わっていない。



『雲雀さんが、雲雀さんらしくある事が好きだから、それで良いです!』
『傍に居られるだけで、幸せです!』
って、言ったのは私だ。




そう、私は彼に
『何も変わらなくて、良いです』
と、言っておきながら…


…たった数カ月で、その初心を忘れて…
何時しか、彼が“恋人らしい態度”をとってくれる事を、
望んでいたんだ…。




なんて、自分勝手で、自己中な思考だろう…。
…それに、なんて我が儘。

おまけに、
…まるで雲雀さんが悪いかのような言い方までした。


――私って、最低よね…。

軽く自己嫌悪する…。



自分で、自分の欲深さに…嫌気がさす。








あの日、応接室から、逃げ帰るようにして、家に向かいつつ、
心の中で…
もしかして、雲雀さんが追いかけて来てくれないかな?
なんて淡い期待をしてたけど…

最初、言ってた事とは違う事を、勝手に期待して、
…挙句にあんな事まで言った私を――

態度の冷たい恋人をなじるなんて…
そんな風に捉える事も出来る言葉を、
“あの雲雀さん”に対して言った私を――


…彼が、許してくれる筈なんて…ないよね。







我儘で、欲深い私は、
傍にいるだけでは満足出来なくて…自ら関係を壊したんだ。


私は、どれほど…思いあがって…いたのだろうか…。







…雲雀さんは、あの時に私を追いかけて来てくれる所か、
昨日、学校の廊下ですれ違った時も…まるで無視だった。

全く、私など眼に入っていないように…。 
完全無視して通り過ぎて行った…。





…最も、それは付き合っていた頃だって、
同じようなものだったけど…、
本当にチラッと、一瞬…
目を合わせる暇もない程の視線が、来るだけだったしね。



――彼は、決して、

慣れ合うような態度は……取らない人だったから…。













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あきゅろす。
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