素直な気持ち 3 最近、若菜が… 不満を募らせている事には、当然、気がついている。 本当は、僕に言いたい事があるんだろうけど、 言わない所を見ると… 僕が、機嫌を悪くするとでも、思っているんだろう。 まぁ、言われなくても… 彼女が考えてる事なんて、大体解ってる。 そこらの草食動物達が、群れてるみたいに、 …したいって言うんだろう? この僕が、あんな連中みたいに… ベタベタとした付き合いをする訳が、ないだろ? そんなの…初めから解ってる筈の事だよね。 君は『傍に居られるだけで、幸せです』と、 …そう、言ってたじゃないか。 だから、特別に応接室への出入りも許可してるんだ。 …毎日、僕の傍に居られるようにね。 若菜以外に、この部屋に自由に出入り出来る者なんていない。 …それで、十分じゃないのかい? …全く… 自分が特別扱いされている事にも気がつかずに… 不満を募らせるなんて… ……君、一体何様? 僕は、仕事が多くて大変なんだ。 何しろ、周りにいる連中は、使えないからね。 …自分でするしか無い。 君に説明したって、どうせ解らないだろうから、 いちいち言わないけど…、 並盛全体を牛耳るには… 僕の圧倒的な強さとか、カリスマ性とか …そんなものだけでは治まらない。 恐怖による支配なんて言う奴もいるけど… それだけじゃダメだ。 だから僕は、関係各所に、資料を用意させ… 様々なものをチェックしたりもしている。 この僕が、キチンとチェックしてるからこそ 不正や腐敗を防げているんだ。 例えば、会計処理が正しいかどうかなんて… そんな事がどう大事なのか、とか… 全く解らないであろう君に、こんな事を説明したって…無駄だろう? だから… 僕はいつだって無言で、ひたすら仕事をしている。 本当に… 毎日、忙しいんだから…邪魔をしないでほしい。 …だから、今日も……大人しく早く帰りなよ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |